日経コミュニケーション2015年8月号pp.50-57の5Gのすべて「2020年に向け研究開発ラッシュ、ユースケースと要求条件は世界共通」を分割転載した後編です。前回はこちら

「5Gのすべて」は、日本の5G(第5世代移動通信システム)を推進する5GMF(第5世代モバイル推進フォーラム)のキーパーソンがリレー形式で執筆した連載コラムである。日本を含めた世界の動向を、研究開発や標準化、ユースケース、アプリケーションといった様々な観点から解説する。今回は世界における主な団体での5G検討状況および展望を紹介する。

 今回は世界における主な団体での5G検討状況および展望を紹介する(表1)。

表1 5Gに取り組む主な組織・団体
表1 5Gに取り組む主な組織・団体
2015年6月30日時点。
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ITU:2020年中の勧告完成を目指す

 国際標準化団体のITU-RではWP 5D(Working Party 5D)が5Gを担当する。2020年およびそれ以降に向けた将来のIMTシステムの開発に向けたビジョンとして、実現すべき主要な能力の抽出や、その定量的な値についての取りまとめ作業が進んでいる。勧告案(ITU-R M.[IMT-Vision])を完成させ、さらにWP 5Dでは、5Gに相当する将来のIMTシステムをIMT-2020として、その作業スケジュールを2015年1~2月に開催されたWP 5D会合で合意した(図4)。要求条件などの詳細検討を2016年2月会合で開始し、2020年中の勧告完成を予定している。

図4 ITU-R WP 5DにおけるIMT-2020の作業スケジュール
図4 ITU-R WP 5DにおけるIMT-2020の作業スケジュール
要求条件などの詳細検討を2016年2月に開始、2020年中の仕様完成を予定して
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 ITU-Tにおいても、将来網を扱うSG13が主管となって、☞FG IMT-2020を立ち上げた。無線以外のネットワーク技術に関する5Gの標準化課題を抽出し検討を始めている。

FG IMT-2020▶
FGはFocus Group。詳細はhttp://www.itu.int/en/ITU-T/focusgroups/imt-2020/Pages/default.aspx参照。