転職は恥ずかしいことだと思うか。日経BP社の技術系媒体が実施した「エンジニア転職意識調査」で、こんな問いを投げかけてみた。結果、「はい」と回答したのは2.1%(図1)。ほとんどのエンジニアが、転職を恥とは思っていないことが分かった。

図1●「転職は恥ずかしいことだと思うか」という問いに対する回答
図1●「転職は恥ずかしいことだと思うか」という問いに対する回答
[画像のクリックで拡大表示]

 一昔前は、一つの会社を勤め上げることが望ましいとされ、転職を恥ずかしいと捉える風潮もあった。今回の調査結果を見る限り、それは過去のものといえそうだ。

 この質問に対する結果を詳しく分析してみると、現在の勤務先の従業員規模によって傾向にやや差があった。図2は、「転職を恥ずかしいと思う」と答えた人の割合を、従業員規模別に示したもの。規模が小さい企業に勤務している人の割合が比較的大きく、5000人以上の大企業になると転職を恥ずかしいと考える人はほとんどいない。

図2●図1の結果を、現在の勤務先の従業員規模別に集計したもの
図2●図1の結果を、現在の勤務先の従業員規模別に集計したもの
[画像のクリックで拡大表示]

 従業員数が多い大企業ほど転職する人も多く、転職を特別なことだと捉えていないのかもしれない。小規模な企業では従業員同士のかかわりも密になるため、職場を去ることに恥ずかしさや後ろめたさを感じやすい可能性がある。従業員数100人未満の企業に勤務するエンジニアからは、「転職は負けと思っているのか、辞めたいと言いつつも全く行動に出ていない人が多い」(IT:システム・ソフトウエア開発、20代)との声が寄せられた。

 自由意見では、転職せず同じ会社に勤め続けることの価値を改めて訴える声もあった。「新卒で入社して以来、一つの会社に勤務している。外国のように“会社にとらわれずに個人が自由に働く”という主義もあるだろうが、私としては一生同じ会社に勤めることも立派な人生だと思う」(土木:計画・設計、30代)。

調査概要
アンケート調査をWeb上で実施。日経BP社のIT系、電子・機械系、建築・土木系のWebメディアを中心に告知した。調査実施期間は2017年7月3日~7月12日。回答者数は672人で、職種の内訳はIT系407人、電子・機械系122人、建築・土木系90人、その他53人。回答者の年齢は、20代以下72人、30代227人、40代214人、50代135人、60代以上24人。