コミュニケーションとは、さまざまな情報をいろいろな手段で伝え合うことです。自分が思うことを一方的に相手に伝えるだけではなく、自分の頭の中にあるイメージと相手の頭の中にあるイメージを「共有する」ことではないでしょうか。
そのためには、まず「相手を理解する」ことが出発点となります。相手がどのような状態にあるのか、どのような気持ちなのか、どのようにメッセージを受け取るかなどを推察することが大切です。
相手を理解するためには五感を使いますが、その中でも「聞く」ことを通じて多くの情報を得ることができます。人の話は、しっかり最後まで聞かなければいけないということは、誰もが頭では分かっています。でも「聞く」ということは思った以上に難しいことです。
聞くことが難しい理由
ではなぜ、話を聞くことは難しいのでしょうか。
[1]自分の話をしたくなってしまう
相手の話を聞いているうちに、自分の答えが思い浮かんできて、途中で、自分の話をしたくなってしまうことがあります。相手の話を途中でさえぎってしまっては、相手が伝えたい意図をくみ取ることができません。
[2]話の先が読めてしまって興味がなくなる
聞いている途中で分かった気になり、話を聞くのをやめてしまう状態です。たとえ予想された話であっても、最後まで聞けば、話し手の話の微妙なニュアンスや温度を感じることができるかもしれません。
[3]自分の価値観と違うから聞きたくない
自分の考え方と異なっているので、聞きたくない場合や自分にとって必要なことしか聞かない、という態度を取ってしまうことがあります。
[4]他のことを考えてしまい集中できない
相手が話している間に何か考えごとをしてしまい、話に集中できない状態です。人間の脳は、同時に複数のことを処理できないので、そのような状態では話を聞くことができません。
[5]自分の都合がよいように解釈する
話の内容を自分にとって都合がよい形に変形させてしまうことがあります。話し手が伝えたい真意と異なった理解を聞き手がしてしまうと、共有することができません。