現実的目標で期限を切る

[4]Realistic:現実的であること
 自分の価値観に沿った目標設定にすることが必要です。自らが本当に望んでいる目標でなければ、目標に向かって真剣に取り組むことはできません。自分が「なぜ目標を達成しなければならないか」「本当に自分が望んでいる目標かどうか」を知るためには、自分が何を得たいのかを明確にすることです。「目標を達成することで何を得たいのか」と、自らに問い掛けてみましょう。出てきた答えが自分の価値観と合っていれば、本当に心の底から自分が望んでいる目標といえます。

[5]Time-bound:達成期限があること
 目標達成のためには、達成すべき期限やスケジュールを明確に決める必要があります。「近いうちに」「できる限り早く」などの具体的ではない表現は避けましょう。具体的な期限を設けることがポイントです。期限が明確であれば、達成するための計画策や進捗管理を行いやすくなります。

 では、ここで「SMART」に基づく目標設定を行ってみましょう。あなたが上司の立場で、部下であるA君の目標をチェック・修正するというケースを考えます。A君は、売り上げが芳しくない営業部の若手です。

 A君は目標を次のように考えています。「既存のお客様へできる限り顔を出す。そして、できるだけ多くの商談を作っていく。確実に成約に結び付け、月間の売上目標として300万円を達成したい!」と。しかし、これでは、「何件訪問する予定なのか」「成約目標を達成するために、いくつの商談が必要なのか」が見えてきません。

 では、「SMART」を踏まえて設定した目標とはどのようなものでしょうか。例えば、次のような目標となります。

[1]S(具体的)
 単価50万の契約を6件取って300万円を達成する。
[2]M(測定可能)
 1カ月に50件訪問し、15件の商談を作って、6件成約する。
[3]A(達成可能)
 今期平均で月42件訪問し、商談12件で4.2件受注しており、達成が可能。
[4]R(現実的)
 今期は月最高6件成約しているメンバーがおり、現実的な数字である。
[5]T(期限)
 今月30日までに達成する。

 目標がぼやけていると行動もあいまいになります。行動があいまいになれば、目標を達成することはできません。仕事や生活の日々の目標を「SMARTの法則」で確認する習慣をつけることで、目標設定力を高めることができます。

 メンバーに指示を出す場合もSMARTを意識すれば、メンバーの効果的なアクションにつながります。目標設定のやり方を変えるだけで、メンバーの意欲が高まり、会社の雰囲気も変わるのです。