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仕事を3倍速くする5つのフレームワークとは?

第3回 情報を効率的に整理して分析する枠組み

  • イントランスHRMソリューションズ 代表取締役 竹村孝宏氏
  • 2017/08/10 05:00
イントランスHRMソリューションズ 代表取締役 竹村孝宏氏
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 ビジネスにおいて、皆さんは「フレームワーク」を使いこなせているでしょうか。フレームワークとは、情報を効率的に整理して分析できる枠組みのことです。フレームワークをしっかり使いこなせると、次のようなメリットがあります。

・仕事のスピードが3倍速くなる
・自分の頭の中を整理して考えることに集中できる
・説得力のある資料を作成できる

 フレームワークは、複雑な事象をシンプルに整理し、全体像を把握して分析するためのツールであるとも表現できます。皆さんが上司から次のような課題を与えられたとしましょう。「5年後の事業環境を踏まえ、A事業の売り上げを2倍にする提案を明日中にまとめよ」と。漠然と考えていては、1日かけてもまとまらないでしょう。ところが、フレームワークを使うことで、短時間で状況を整理できるようになります。使用するフレームワークは、次の5つだけです。

[1]マクロ市場環境を分析するPEST分析
[2]事業環境を把握する3C分析
[3]環境分析からビジネス機会を見いだすSWOT分析
[4]基本戦略方針を明確にするSTP分析
[5]具体的戦略を動かすマーケティングの4P&4C

SWOT分析でビジネスチャンスを見いだす

[1]マクロ市場環境を分析するPEST分析
 PEST分析は、中・長期視点での業界を取り巻くマクロ環境、すなわち自社の努力で変えられない社会の大きな流れを分析する際に使います。PESTは次の頭文字です。

Politics:政治動向やビジネスを規制する法律など
Economy:景気や物価、雇用動向、為替、金利など
Society:人口動態や価値観、宗教、新たな文化など
Technology:ビジネスに影響を与える新技術や特許など

 5年から10年程度の長期的な動きに対し、これらの4つの視点で自社に影響のある要素をプラス要因かマイナスの要因かで整理して、影響度を分析します。

[2]事業環境を把握する3C分析
 3C分析とは、自社を取り巻く業界の環境変化を整理するためのフレームワークです。顧客や市場の動き、競合の戦略から課題や問題点を抽出し、自社がどうすべきかを考えます。3Cとは次のことを指しています。

Customer:市場の規模・成長性や、顧客のニーズ・消費行動
Competitor:競合の特徴やシェア、競合状況、新規参入・代替品の脅威
Company:自社のヒト・モノ・カネや、事業や商品・サービスの特徴

 まず、業界の構造変化に着目し、自社の事業に対する影響度合いを見いだします。加えて、顧客の価値観やニーズがどのように変化するかを調べます。続いて、競合が市場の変化に対してどのように対応しているのか、どのような成果を出しているのかを分析します。市場変化と、競合が見せる市場変化への対応に関し、自社の状況を比較して分析します。

[3]環境分析からビジネス機会を見いだすSWOT分析
 PEST分析や3C分析で収集した外的環境と自社の内部分析を4つの視点で統合的に整理し、ビジネスの機会を見いだすのがSWOT分析です。SWOTは次の頭文字です。

Strength:自社の強み、顧客が自社商品・サービスを利用してくれる理由
Weakness:自社の弱み、自社が苦手とする部分
Opportunity:チャンスとなる外部要因、変化に対する競合の動きなど
Threat:脅威、自社の強みを打ち消す環境の変化や競合の動きなど

 このSWOT分析により、自社の市場におけるポジションや競合を把握できます。加えて、強みと弱み、機会と脅威をクロスさせることで4つのセルごとの戦略の方向性を考えることができます。

強み×機会:自社の強みでチャンスを最大限に活用するために取り組むべき施策を検討します。
強み×脅威:自社の強みにより、脅威による悪影響を避けたり、チャンスにするための施策を検討したりします。
弱み×機会:自社の弱みを把握した上で、チャンスを逃さないために取り組むべき施策を検討します。
弱み×脅威:自社の弱みと脅威による最悪の事態を避けるためどうすべきかを検討します。

 戦略の方向性を明確にできるかどうかは、外部環境の変化をどれくらい自社のビジネスチャンスとして捉えられるかにかかっています。

「考える」ことに集中するために

[4]基本戦略方針を明確にするSTP分析
 STP分析では、商品・サービスのマーケティング戦略を次の3つに分けて分析します。

Segmentation:市場の細分化
Targeting:市場ニーズから狙う市場の決定
Positioning:競争優位性を発揮できる立ち位置の決定

 このSTP分析から、自社の商品・サービスが戦う土俵を決めることができます。土俵での立ち位置により有効な戦略が、次のように変わってきます。

「リーダー」:市場におけるトップシェアのポジション。代替マーケットが競合対象となる場合が多く、マーケット規模の維持・拡大がポイントとなる。
「チャレンジャー」:トップシェアを狙うポジション。リーダーがつくった価値や価格帯に挑戦する。
「フォロワー」:リーダーに限りなく同質化したポジション。少ない投資で利益を最大化することを目指す。
「ニッチャー」:リーダーから限りなく異質化しているポジション。差異化により、一部の消費者からの強い支持を獲得することを目指す。

[5]具体的戦略を動かすマーケティングの4P&4C
 市場を細分化して戦うべき土俵を決定すれば、その土俵で勝負する製品・サービスを開発する必要があります。4Pは、その開発から販売プロモーションまでのフレームワークです。具体的には、以下の4つを指しています。

Product :自社商品の仕様や特徴、差異化
Price:価格設定
Promotion:販売促進
Place:流通チャネル

 4Pは、新商品・新サービスを市場に出す際に必ず決定しなければならない要素です。4つの組み合せにより、商品・サービスの売れ行きが決まるといえます。

 そして、商品・サービスを供給者の視点ではなく、顧客側の視点で分析するのが4Cです。次の4つを指しています。

Customer Value:顧客が得られる価値
Customer Cost:顧客が負担するコスト
Communication:顧客とのコミュニケーション
Convenience:入手のしやすさ

 先の4Pが売る側からの論理(プロダクトアウト)であるのに対し、3Cは顧客視点(マーケットイン)で再定義したものです。議論すべき要素は変わりませんが、4Cに置き換えることで顧客目線に近づくことができます。

 以上の5つのフレームワークを知っているだけで、ビジネスにおけるほとんどの課題に対応できます。ビジネスにおけるさまざまな場面で、先人たちの知恵の詰まったフレームワークを使いこなしましょう。こうして整理・分析の効率を高め、「考える」ことにぜひ集中してください。