まずは問題を認識する

[1]問題を認識する
 問題を認識するということは、問題を「発見」して「定義」することです。問題認識が適切かどうかは、とても重要です。なぜなら、問題認識自体が間違っていると、問題を解決しても成果が出ないからです。

 加えて、問題とは「見えているもの」や「意識されているもの」だけではありません。将来起きるであろうと想定される問題を認識することも大切です。問題には次の3つのパターンがあります。

①既に発生している問題
 通常の状態ではなく、明らかな異常が既に発生している状態です。例えば、顧客からのクレームが日々頻発しているような状態です。

②今後発生するであろう問題
 現時点では異常はないものの、いずれ発生するであろうと思われる問題です。例えば、2年後に予想される顧客の変化に対して、自部門の対応力不足が見込まれるような場合です。

③将来の目標を実現するための問題
 長期的な視点や高い理想に近づけるために解決すべき問題を設定する場合です。例えば、将来の競争環境の変化に対し、自部門が対応すべき課題を設定するケースがこれに相当します。

 問題が見つかったら、問題を定義します。問題の定義とは、「何が」「どのように」問題なのかを明確にすることです。

 続いて、「重要度」と「緊急度」を踏まえた上で、問題内容を「テーマ」として設定します。重要度とは、問題の影響する範囲と大きさです。例えば1つの商品だけではなく、複数の商品で発生している問題であれば、より重要度が大きいといえます。

 緊急度は、時間が経つことで問題が悪化する度合いです。例えば、日を追ってクレームが増えているなら、緊急度が高いといえます。重要度と緊急度から優先順位を判断し、解決目標を明確化します。ここで定義した問題が、本当に解決する価値があるかどうかを確認することが大切です。

[2]現状を分析する
 問題を起こしている原因を調査します。この調査・分析をしっかりとできるかどうかで、解決への道筋は変わってきます。調査は、「情報収集」と「原因分析」の2つのステップで実施します。

①情報収集
 現れていることの事実と情報を詳細に収集し、問題の現状を調べます。できる限り多くの関連するデータを収集する必要があります。

②原因分析
 問題には「必ず原因があるはずだ」という視点に立ち、原因を探ります。探し出した原因には、 さらに原因があるかもしれません。こうして真の原因を追究していきます。同じ問題が過去の事例にないかを調べることも有効です。関係するさまざまな要素を見つけ出し、問題を整理して体系化していきます。