伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
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 先日、石川県加賀市で行われた「第2回 加賀RoboRAVE」という学生のロボット競技に招かれました(参考)。この大会は小学生から高校生までのチームが、さまざまなロボットを使って3つの競技を競う大会です。日本のみならず中国や台湾、米国、シンガポールなどの海外の子供たちも参加する、まさにロボットの国際競技会です。

驚くべき子供の技術力

 まず、非常に驚いたのは、そのレベルの高さです。例えば、曲がりくねった木の板をロボットが自動で動き、どこまで行けるかを競う競技があるのですが、どのチームも7回ほど曲がってゴールまでたどり着きます。大人でもなかなか難しいレベルの競技を簡単にこなしてしまうのです。

 さらに驚くのは、子供たちは失敗すると、競技中にチーム内で話し合ったり意見交換をしたりしながらプログラムを修正し、精度を高めていくことです。こうした現場での対応力やチーム力には大変驚きました。彼らは立派な「エンジニア」です。

誇るべき日本の子供たち

 いろいろなチームを見ましたが、中国と台湾の小学生は非常にレベルが高いと感じました。ただ、小学生に限らず全体を見渡すと、あるチームが突出した技術力を持っていました。それは日本の石川県加賀市内にある高校のチームでした。

 まず、ロボットを一目見ただけで他のチームとの技術力の違いが分かりました。他の多くのチームは、デンマークのLEGO社の「マインドストーム」などハードウエアは既製品を使いながら、ソフトウエアの開発に力を入れていました。それに対し、加賀市の高校生チームは、制御ボードは汎用的なものを利用していますが、その他のロボットにおけるさまざまな部分は自作しており、プログラミングだけではなく、ハードウエアにも工夫を施していました。

 その上、カーブにおける動きがとにかく素晴らしい。企業が作ったと言っても過言ではないくらいの動きの精度でした。恐らく先生の指導を受けているとは思いますが、それだけであのレベルのものを作るのは難しいと思います。彼らが社会で自由に活躍できる場ができれば、日本の未来は非常に明るいものになるでしょう。そのために私も尽力したいと思いました。なお、結果的に高校生の部は日本チームが1位と2位を獲得したようです。

 いつもは学業や就職活動などで忙しい高校生が、ここまで高いレベルのロボットを作れる。その現実を目の当たりにしたからには、社会人としても負けていられません。教育は、子供たちだけが受けるものではありません。私自身もそうですが、今の時代、人間は一生勉強です。年齢を重ねたことを言いわけに学習しない人は、単に怠けているのと変わりません。業種や職種、役職、年齢に関係なく、今後取り組むべきIoT(Internet of Things)やロボット、人工知能に対して、「できない」というのは言いわけです。