伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
[画像のクリックで拡大表示]

 IoT(Internet of Things)やプロダクトイノベーション(革新的な製品やサービスを開発すること)の話をするとき、私は必ず「Arduino」という制御装置の話をします。でも、その度にArduinoという言葉がまだまだ普及していないことを知ってがっかりします。

 どちらかといえば、シングルボードコンピューターの「Raspberry Pi」の方が雑誌などで取り上げられることが多いと思います。しかし、今後の日本にとって重要なのはArduinoの方です。なぜなら、Arduinoには「オープンソースハードウエア」という新しい考え方が備わっているからです。

オープンソースハードウエアの意味は?

 本コラムの第5回でも触れた通り、オープンソースハードウエアを一言で言えば、電子回路に関する設計情報など全てが公開されているハードウエアのことです。よく知られているように、オペレーティングシステム(OS)の「Linux」がオープンソースソフトウエアとして、ソースコードが公開された形式でリリースされました。その結果、現在多くのサーバーソフトウエアがLinux上で動くように設計・開発されています。

 それと同じような動きがArduinoに見られます。世界中の多くの技術者が今、Arduinoを支持しているからです。事実、Arduinoからモーターや無線通信などを実現する拡張基盤(シールド)や、ソフトウエアライブラリーが生まれています。その結果、センサーデバイスやドローン、ロボットなどもArduinoを使えば簡単にプロトタイプが開発できるようになりました。これには企業にとって2つの意味があります。

・ハードウエアの開発が未経験の企業でもハードウエア開発に挑戦できる。
・ハードウエアを作れること=差異化にはならない。