伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
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 通信業界では最近、5G(第5世代移動通信システム)に各メディアの注目が集まっています。しかし、IoT(Internet of Things)の切り口で見た場合、必ずしも5Gだけが通信業界の鍵になるとは私には思えません。もう少し広い視野でこの業界の今後を見る必要があると考えています。

 そこで、「通信業」もしくは通信関連の各社にとって今後重要になるのは何かについて、技術的な観点から整理してみたいと思います。

通信のシナジー

 まず、ここでいう通信業とは、データ通信のインフラや情報端末に関する事業を行っている企業のことです。

 通信業界で話題になっている5Gですが、実は2020年代に利用可能となる「見込み」であって、実際に普及するにはまだ時間が必要です。それまでにIoTと人工知能(AI)によって通信業の形は大きく変わっていると私は見ています。

 例えば、技術進化により新事業を立ち上げるコストが下がり、他業種への新規参入が容易になって、人工知能の活用が差異化につながる可能性があります。すると、通信業界各社も、これまでの強みを生かした次の一手を考えなければなりません。

 ソフトバンクのARM買収もその表れだと考えています。私の予測では、あの買収は単なる投資ではなく、ソフトバンクにとってのシナジーを考えた大切な次の一手への布石です(「第2回 英ARM社買収の真の狙い」参照)。