伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
[画像のクリックで拡大表示]

 最近、自動運転車に関するメディア記事が増えています。私のところにも自動車関連企業からさまざまな問い合わせが来るようになりました。よく受けるのは、「自動運転は実際に可能なのですか?」という質問です。

 その質問の意図が、「運転しなくても、どこでも好きな場所に行くことができるのですか?」というものであれば、「それはできません。できたとしても遠い未来になります」というのが私の答えです。

「できない」ではなく「できる」を考える

 できないだろうと答える理由は、実現するための技術的な難しさや、道路工事など不測の事態への対応、法律の壁、事故を起こした際の責任問題などさまざまな理由が存在します。しかし、「なんだ。では、自動運転車っていうものは実現できないのですね」という結論を出すのは早すぎます。

 例えば、全ての区間でしっかりと情報管理されている高速道路であれば、無線通信で道路状況を逐次受信しながら自動運転することは難しくないでしょう。また、渋滞の間だけであれば、前のクルマについていけばよいので比較的簡単に実現できそうです。
つまり、移動できるエリアや環境を制限すれば、自動運転は可能だと思います。

 自動運転という新しい価値に対して「理想が実現できない=開発しない」という考えは古いと思います。そうした発想しかできない企業は、今のビジネススピードに着いていけません。「制限があってもできることから実現し、その上で社会に新しい価値を提案できるアイデアを絞り出す」といった考え方が、第4次産業革命時代には必要だと思います。