楽しみながら学ぶ

 Minecraftの説明が続いてしまいましたが、これがIoTとどう関係しているのでしょうか。その鍵となるのが、IoTの世界でよく利用されている「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」というシングルボードコンピューターです。この標準OSである「Raspbian(ラズビアン)」をインストールすると、デフォルトで「Minecraft Pi(MinecraftのRaspberry Pi版)」がインストールされます。Minecraft Piは現時点ではクリエイティブモードでしか遊べませんが、これを使うと先ほど触れたPythonなどで記述したプログラムとMinecraftを連携させることが可能です。

 例えば、プログラムでRaspberry Piが備えるGPIO(汎用入出力)端子を制御してMinecraftの仮想世界を発光ダイオード(LED)などの現実世界と連動させることができます。例えば、Minecraftの世界でダイヤモンドの鉱石を発見したら、GPIOとつながったLEDを光らせるのです。IoTに興味を持ってもらうには、ゲームを使ってプログラミングを学ぶことが最適だと私は考えています。しかも、子供にだけではなく、大人にも有効だと感じています。

 Minecraftでは、業務用アプリケーションソフトウエアを作成することはできません。最終的にはプログラミングやIoTの知識を一から学ばなければ、IoTを理解したとは言えません。IoTを完全に理解するには、情報処理やネットワーク、プログラミングなどに関してしっかりとした基礎教育が必要です。しかし、Minecraftのようなビジュアルプログラミングツールは、興味を持って好きになる「きっかけ」となり得ます。

 「教育」や「勉強」というと、まじめな顔で取り組まなければならない固いイメージがあるかもしれません。しかし実際は、私が日経BP社の「技術者塾」などでハンズオン講習を取り入れると受講者の理解度が格段に上がるように、楽しみながら学ぶということが今後のIoT教育にとって非常に重要な要素ではないかと思うのです。