伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
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 「人工知能が進化すると、特定の職種がなくなる」──。最近、さまざまなメディアが盛んにこうした警鐘を鳴らしています。その記事や報道では、消えてしまう職種として「組立工」「機械工」「事務員」「会計士」「運搬作業員」「梱包作業員」「接客業」「大工」などを挙げて、読者や視聴者の危機感をあおっています。

 「そのうち人工知能が原因で失業者が道にあふれ、生活に困る人が多く出るのではないか」と不安に思う人もいるでしょう。こうした考えが定着すれば、「人工知能は人間から労働や文化、職人技術を奪い取り、将来は人間の敵になるかもしれない」といったネガティブな印象を持つ人が増えてしまうのではないか、と私は危惧しています。

 私が思うに、こうした記事や報道になるのは、人工知能とは何かという技術的な観点の考察が抜けているからではないでしょうか。それ故に、「近い将来、人工知能は人間の代わりに判断や決断を行い、自律的に動く」といったように誤解してしまうのだと思います。

 このコラムでは、これから数回にわたって「人工知能との賢い付き合い方」をテーマに、技術的な観点から人工知能について正しく理解することを目指します。そして、その結果どのような変化が社会に生じるのか、また企業や社会にどのような恩恵をもたらしてくれるのかについて述べたいと思います。

 さあ、皆さんに質問です。本当に人工知能によって特定の職がなくなってしまうのでしょうか?