創造される新たな市場

 データを供給できる企業とデータが欲しい企業が存在すれば、そこに新しい市場が生まれるのは必然です。取り引きする場所が生まれると、データを広く販売することができます。つまり、その時点でデータは「商品」になるのです。

 現在、日本政府は情報銀行の検討を行っています。情報銀行とは、まさに「データの銀行」のこと。企業間のデータ流通を促進するために、個人情報を排除したデータを集めて提供するのです。政府主導により無償で取り引きできるようにするのか、それとも有償で販売できるようにするのかについてはこれから検討されると思います。日本政府は公共のデータを全てオープン化し、社会に提供することも検討しています。

 いずれにせよ、今後はデータを企業間で取り引きする市場をつくる動きが加速するはずです。従って、ほとんどの企業にとって「データを販売する」、もしくは「購入して活用する」ことが不可欠になることでしょう。

自社のデータを整理・蓄積すべし

 「データが金銭的価値を持つ」という前提に立つならば、今後に備えて自社の持つデータを整理し、すぐにでも蓄積すべきです。私に言わせると、取得できるデータを取得してないことは、将来売れるかもしれない新しい商品を捨ててしまっていることに等しいのです。

 かつて、高い価値を持つ石油が垂れ流しで捨てられていました。その価値の分からない人々が無用であると見なしたからです。今から考えれば、何とももったいない話です。今まさに、後世の人から「もったいない」と言われることを多くの企業がしているのかもしれません。