伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役、サイバー大学客員講師、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役、サイバー大学客員講師、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
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 IoT(Internet of Things)や人工知能による技術革新によって「第4次産業革命」が起こると言われています。振り返ってみると、「第2次産業革命」によって工場は急速な機械化が進みました。この時に燃料として利用されたのが石油です。石油の登場により、アメリカに黄金時代が到来しました。工場の自動化が進み、時代は大きく変わったのです。

 「実は、今また新しい黄金時代が始まろうとしています」。そう言うと、「まさか!」と思う人が多いかもしれません。しかし、現在世界中で第4次産業革命というキーワードが使われていることには、それなりの根拠があるのです。その根拠の1つとして、新たな鉱脈が世界中で生まれようとしています。

最も高効率の設備を見極める

 その新たな鉱脈とは何か。それは「データ」です。現時点では、自社が収集したデータを他社に有料で販売している企業はほとんどないのではないかと思います。なぜなら、他から得たデータを活用し、ビジネスで生かす企業が少ないからです。

 ところが、今後スマートファクトリー化が進み、人工知能の活用が進めば、あらゆる分野でデータの需要が一気に高まります。すると、「品質の良いデータを売ってほしい」と望む企業が増えるはずです。

 例えば、野菜の栽培。どの品種でどのような環境で育てると、どれほどの時間でどれくらい大きく育つのか。あるいは、どのような環境下で病気にかかるのか──。そうしたデータさえ入手できれば、植物工場などにおいて非常に高品質の野菜を効率良く栽培することが可能です。

 製造業に関しても同様です。どのような機械を、どのような環境下で、どのように動かせば、どれほどの不良品が出て、どれくらいの間隔で故障が発生するのか──。こうしたデータがあれば、スマートファクトリーを実現する際にどれくらいの生産効率が見込めるのかをシミュレーションすることが可能です。すると、どの機械を導入すれば最も効率が高まるのかを見極めることができます。