一般の技術者と優秀な技術者の違い

 ソフトウエア業界の経験から、私は新たな価値を社会に提供できる「もの」を生み出せるのは、社長でもプランナーでもなく技術者であると考えています。かつてITの分野で一躍世界に躍り出たGoogle社や米Microsoft社、米Apple社、米Facebook社などの創業者や幹部の多くは、世界トップレベルの技術者でした。

 なぜ技術者なのかというと、本当に優秀な技術者は、今の技術で何を実現でき、夢のような「もの」を作るには、どのような技術を使えばよいのかを想像できるからです。しかも、優秀な技術者は考え方が非常に合理的でムダがありません。そして何より、本当に優秀な技術者は自分の担当分野に引きこもらず、関連しそうな技術(時には関係なさそうな領域まで)の全てに自ら飛び込み、頭だけではなく感覚を含めて体験的に理解しようとするのです。

 ここが、一般的な技術者とトップレベルの技術者との大きな違いです。こうして、優秀な技術者は会社の業務外に、個人の趣味から注目すべきソフトウエアを開発しました。それが「オープンソースソフトウエア」の世界です。

 同じことが、IoTの分野では「ものづくり」として実現されようとしています。役職は社長であろうがネットワークエンジニアであろうが関係なく、世界中の優秀な技術者が今、最新の技術を学ぼうと、日々Arduinoなどを使って「ものづくり」に励んでいるのです。