電気製品に処理性能が求められる理由

 IoTが流行している背景もあり、電気製品の変化としてネットワーク接続が注目されています。その他にも技術革新に伴って変化が起きています。その1つがOS上のプログラムによる高度なソフトウエア制御です。

 例えば、自動車だけではなく、船舶や建設機器、鉄道車両などがエンジンで発電し、モーターで駆動する方式へとシフトしようとしています。モーター駆動に移行する利点の1つは、ソフトウエア制御が簡単であることです。ソフトウエアでモーターの回転数やトルクを変更し、状況に応じて適切な動きをさせます。これにより、エネルギー効率を高めるのです。

 製造面においても利点があります。同じ仕様のモーターを大量に造って量産効果でコストを下げることができるからです。さまざまな製品に同じ仕様のモーターを搭載し、後はソフトウエア制御により各製品に適切な回転数やトルクなどを出して使うのです。これは、インダストリー4.0で実現を目指す「マス・カスタマイゼーション」にも通じるところがあると思います。

 ハードウエアに幅広い仕様を持たせておき、ソフトウエアで制御することで製品に柔軟性を持たせる──。今、ものづくりがこうした方向に進みつつあります。まさにハードウエアとソフトウエアの垣根がなくなり、ハードウエア設計に高いソフトウエアの知識が必要な時代になったと言うことができます。