高安 篤史=合同会社コンサランス、株式会社サートプロIoT技術講師、中小企業診断士
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高安 篤史=合同会社コンサランス、株式会社サートプロIoT技術講師、中小企業診断士
 生産管理システムとIoT(Internet of Things)プラットフォーム。これが今回のテーマです。皆さんは、IoT時代の生産管理システムに必要なものは何だと思いますか?

従来の業務管理システム

 その前に、生産管理システムを含む、製造業の業務システムを確認しましょう。

 ものづくり企業において、IoTによる生産現場の改善はIoT化の第一歩といえます。生産管理システムを導入している生産現場は従来からあります。最近では小規模事業者でも簡単に導入できるクラウド型の生産管理サービスも増えており、生産管理システムの導入が加速しています。

 生産管理システムは、一般に生産現場における工程や納期、作業、工数などの計画および管理に加え、材料や部品の調達、品質管理なども実施します。しかし、多くの企業が生産管理システムの情報を生産現場だけで使っています。そのため、経営情報や顧客対応情報などとして十分に生かしていないというのが実情です。これらの情報を製販会議や品質会議で使用することはあります。しかし、経営資源の有効活用を実施するERP(Enterprise Resource Planning)などとは連動しておらず、工場間の情報共有ができていないことが少なくありません。

 ちなみに、生産管理システムの関連システムと捉えることができるPOP(Point of Production)は生産時点情報管理と呼ばれ、工場の生産時点情報を機械や設備、作業者などからリアルタイムに採取して管理します。これは、従来から実施されてきた考え方で、IoTへの第一歩とも考えられるシステムです。

 また、生産管理システムの一部であるMES(Manufacturing Execution System)は、製造実行システムと呼ばれ、工場の生産ラインを監視・管理するシステムです。ISO22400において生産性指標が標準化されています。

図●従来の業務システム(生産管理システム)
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図●従来の業務システム(生産管理システム)