米プロアメリカンフットボールのNFLと北米プロバスケットボールのNBA。現在、公式シーズンが進められている、2つの人気スポーツリーグだが、米国でのテレビ中継で明暗が分かれている。

 米国で圧倒的な人気を誇るNFLは、視聴者数、視聴率の低迷が明らかになっている。視聴調査を行っている米ニールセン社の発表によれば、2017年11月16~20日に行われた第11週までの平均視聴者数は1470万人で2016年同期の1563万人より6%減となった。また第11週の12月19日午後にCBSが放送した、スーパーボウル王者のニューイングランド・ペイトリオッツ対オークランド・レイダース戦の中継は、前年同週から19%も少ない1900万人だった。

NFLの試合の様子(写真:NFL)
NFLの試合の様子(写真:NFL)
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 NFLは今年のシーズン開幕週にハリケーン「イルマ」の接近・上陸に見舞われ、視聴者数や視聴率が前年から大幅ダウンとなった。その後も試合前の国歌斉唱時に選手たちが起立しないなどの人種差別に対する抗議行動をトランプ大統領が批判したことで、イメージをダウンさせる問題に見舞われていたのである。

 これが尾を引いているのか、視聴者数が前年割れを起こす週が多発した。第10週を見ると、視聴者数は昨シーズンは1620万人だったものの、今シーズンは1430万人と200万人近くも落ちている。

2000万人以上が見た試合も

 ただ、悪い数字だけではない。第9週は1320万人で、第11週は1510万人とシーズンが深まるにつれて視聴者数は上昇気味だ。さらに第11週の11月19日、日曜夜に全米で放送された「サンデーナイトフットボール」はダラス・カウボーイズとフィラデルフィア・イーグルスという人気チーム同士の対決だったこともあり、2110万人を記録した。これは昨シーズン同週の同放送より12%も増加している。

 プレーオフに向けて視聴者の関心が高まりつつあり、さらに注目カードであれば、高い数字が出るようだ。今後どこまで戻せるかがカギとなりそうだ。

 一方、ビジネス面では視聴不振にもかかわらず、広告主が各ネットワークに支払う広告費は昨シーズンよりも増えていることが伝えられてきた。しかし、これ以上低迷が続くとさすがに値下げされるのではともささやかれ始めている。また視聴者数の減少は、ライセンスグッズの販売減につながるとの懸念も出ており、影響の広がりは気になるところだ。

NBAの視聴率と視聴者、昨年比3割増

 対して、好調なのがNBAである。ケーブルテレビを中心にNBAの試合を全米中継するESPNとTNTの開幕から20試合までの平均視聴者数は200万人で、昨シーズンの174万人から15%も増加した。メインターゲットとする18~49歳の場合、平均視聴者数は116万人で視聴率は0.9%、これは昨シーズンの90万2300人、0.7%より約29%も増えている。

 特に好調なのはスポーツ専門局であるESPN。今シーズンの平均視聴者数は184万人で昨シーズンの156万人に対して18%増となっている。18~49歳に関しても100万人超で昨シーズンより33%増となった。

ESPNは2017年11月28日、ESPNにおけるNBA2017~2018年シーズンの開幕から19試合の放送の視聴者数が、昨シーズンより24%アップしたと報道発表した(図:ESPNのプレスリリース)
ESPNは2017年11月28日、ESPNにおけるNBA2017~2018年シーズンの開幕から19試合の放送の視聴者数が、昨シーズンより24%アップしたと報道発表した(図:ESPNのプレスリリース)
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 ESPNの放送で最も数字が良かったのは、祝日である感謝祭の前夜、11月22日のプライムタイムに放送した王者ゴールデンステート・ウォリアーズとオクラホマシティ・サンダーの一戦で、18~49歳では323万人、視聴率1.2%だった。