米AT&T社による買収が取りざたされるタイム・ワーナー傘下にあるTNTの放送も視聴者が増加しており、今シーズンの1試合当たりの総視聴者数の平均は235万人と昨年の204万人より15%増となっている。最も視聴者が多かったのはボストン・セルティックスとクリーブランド・キャバリアーズによる開幕戦で560万人、視聴率2.5%を記録した。

NBA専門チャンネル契約数は5000万に迫る

 さらにケーブルチャンネルでやはりタイムワーナー傘下にあるNBA専門の有料チャンネル、NBA TVも好調だ。開幕から30試合の放送で平均視聴世帯数は39万2000を記録した。同チャンネルの契約世帯数は、ESPNの8690万やTNTの9040万には及ばないものの、米国でテレビを保有する全世帯の40%にあたる4760万に達している。

 またNBAが他リーグに対してビジネス面で勝っていると見られている点はもう一つある。それは視聴者の平均年齢だ。NBAは42歳で、NFLの50歳、MLBの57歳よりも若い。米国では近年、いかに若者層を取り込むかが課題になっているだけに、この点は大きい。

 NBAもプレーオフに向かって視聴者の増加が見込まれる。昨シーズン、キャバリアーズとウォリアーズによって競われた優勝決定シリーズ「NBAファイナルズ」5試合の平均視聴者数は2040万人、視聴率は7.4%を記録。これは、ここ19年間で最も高い数字だった。

 ESPNとTNTはNBAに放映権料として合計27億ドルを支払っていると見られているだけに、今シーズンの好調ぶりに安堵していることだろう。

 米国ではスポーツに限らず、全体の傾向として“テレビ離れ”が進んでいるという指摘もある。一方で、NFLとNBAという米国を代表する人気リーグでこのような勢いの差が出ていることについて、何が要因なのか深く分析・対策を立てることが今後重要になりそうだ。