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渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

平昌五輪とスーパーボウル NBC、2大大会放送の懐事情

2017/11/24 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 米国の4大ネットワーク(CBS、NBC、ABC、FOX)のなかで、2018年2月、ここ数年にないほど多忙を極めるであろう放送局がある。NBCユニバーサル社だ。

 同社は来年2月4日に開催される、プロアメリカンフットボールNFLの2017年シーズン優勝決定戦「第52回スーパーボウル」の放送を担当する。スーパーボウルは、視聴率が確実に40%を超える全米最大のスポーツイベントである。そのわずか5日後の9日には、世界が注目する冬季スポーツの祭典・平昌五輪(米国時間では2月8日)が開幕する。この2大イベントを米国で独占テレビ中継するのがNBCユニバーサル社だ。

 現在、スーパーボウルの放映権は地上波のNFL放映権を持つ、NBCユニバーサル社傘下のNBCと、ABC、CBSの3つのネットワークが持ち回りで担当している。そのためNBCが担当するのは2015年の第49回以来だ。

 一方、NBCは1964年の東京五輪で初めて五輪中継を実施。1988年のソウル大会以降は独占放映権を維持してきた。2014年には、2032年に開催予定の第35回大会までの放映権を約76億5000万ドルで取得している。また近年は放送する局を地上波のNBCだけでなく、NBCユニバーサル社傘下のケーブルチャンネルにまで広げている。平昌五輪でもスポーツ専門チャンネルのNBCSNや娯楽専門チャンネルのUSAネットワークなどにより、計450時間にわたる中継がケーブルチャンネルで放送される予定だ。

NBCユニバーサル社の平昌五輪特設サイトのプレス向けページ(図:NBCユニバーサル社)
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30秒CM1回の放映権料は500万ドル台後半

 これらの放送に向けて、NBCユニバーサル社は現在、中継内で放送されるCM枠を販売している。同社のスポーツ部門NBCスポーツグループのダン・ラビンジャー広告・マーケティング担当副社長は2017年10月末に開催された電話会見で「どちらの販売も好調だ」と明かした。広告収入の合計が12億ドルを上回る見込みだという。

 スーパーボウルに関しては収入が3億5000万ドル以上になる見込みで、既に「一握りの枠」以外は販売済みだということだ。高視聴率が期待できる「試合前半の重要な枠の大部分は既に売り切れた」とも話している。毎回世界最高のCM放映権料として話題となる30秒CM1回の放映権料について、いくつかの枠で500万ドル台後半になっているとのことだ。

 この販売ペースは例年を上回るという。同氏はこれについて、テレビだけでなく、デジタルでの影響力を広告主たちに理解してもらったためだと説明している。NBCは中継のライブストリーミング配信も行うが、そこでもテレビと同じCMが流れる仕組みになっている。また、ネット検索やソーシャルメディアでのバズ、YouTubeでの動画視聴など、デジタルメディアにおけるスーパーボウル中継から生まれる付加価値について調査した「スーパーサイズ広告モデル」と名付けたレポートを制作し、広告主に配布、啓蒙に努めたという。

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