6秒の短尺CMを導入

 一方、平昌五輪に関しては8億ドル半ばの広告収入を得た前回のソチ五輪を上回ることを見込んでいるとした。同社は2016年のリオ五輪の広告収入が12億ドル以上あったものの、冬季大会は注目度が夏季大会よりも低いため、広告収入は下がるようである。

 さらにNBCユニバーサル社はこれまで広告主に対し、一定の視聴率が取れることを保証した契約を行ってきた事で知られる。リオ五輪では平均世帯視聴率は14.5%だったが、これは1996年のアトランタ五輪以降で最も低い数字であり、保証した視聴率を下回った。このため同社は無料のCM枠の提供などを行ったと見られている。こうした事態に対し、同社はストリーミングなど様々なプラットフォームでの試聴が増えていることを理由に、全プラットフォームでの視聴者数を保証する形に契約内容を変更したということである。

 さらに、今回の中継での“テコ入れ”として挙げられたのが、6秒の短尺CMの導入だ。FOXはこの秋からNFLやMLB、プロサッカーMLSなどの中継で6秒CMの放送を始めている。ネット動画を見る若者層に親和性が高いと好評で、同系列のケーブルチャンネルAMCが放送する人気ドラマ「ウォーキング・デッド」でも導入された。NBCユニバーサル社はまだ6秒CMを導入していないものの、今回6秒CMの枠を販売する予定だとラビンジャー副社長は語っている。

 ただしスーパーボウル中継での6秒CMの導入はないとも断言した。その理由について「将来的に導入しないと言っているわけではありません。しかし、そのようなことを前進させるには経済面で証明する必要があります。なにより広告主にとってインパクトがあり、有用であるということを」と説明した。この当たりは6秒CMの効果や販売戦略、さらには放送されるコンテンツとの位置づけといった総合的判断がまだ確立されていない段階にあることを伺わせる。

 同氏によれば、スーパーボウルと平昌五輪の両方のCM枠を購入した広告主からの収入が25%を占めるとのことだ。さらに両方のイベントに出稿する主な業種としてはテクノロジー、自動車、小売りを挙げている。スーパーボウルに偏重している業種としては映画だという。この当たりには両イベント中継の視聴層への認識が現れているかもしれない。

 このようにNBCユニバーサル社の2大イベント中継への取り組みと現況からは、様々な事情や努力が見えてくる。