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渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

マイクロソフトも参画、小都市のNFL人気チームが街おこし

2017/11/10 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 米プロアメリカンフットボールNFLのグリーンベイ・パッカーズは過去4回「スーパーボウル」を制し、昨シーズンまで8年連続プレーオフに進出している強豪チームだ。その人気は高く、8万1000人以上収容できる本拠地ランボー・フィールドでの試合は毎回満員。シーズンチケットをキャンセル待ちしているファンは13万人を超えており、申し込んでも購入できるまでに10年以上かかるほどである。

NFLグリーンベイ・パッカーズの地元グリーンベイのホームページ(図:グリーンベイ)
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 パッカーズは米4大プロリーグのチームとして、2つ大きな特徴を持っている。1つは、一般のファンがチームの株を所有するいわゆる市民チームという点。1923年に非営利法人化され、現在36万人以上の株主がいる。株式の売買や所有数には制限が設けられているほか、配当金が出ることもシーズンチケットの優遇もない。ファンはチームへのロイヤリティによって株主となっているのだ。

 もう1つの特徴は、フランチャイズ都市であるウィスコンシン州グリーンベイの小ささである。人口は2010年時点で約10万人。都市圏としても31万人しかいないのだ。それでもパッカーズはNFL有数の人気を持つチームなのである。

 そのパッカーズが地元グリーンベイの再開発、さらにはIT(情報技術)大手と組んで産業活性化と雇用の創生に取り組んでいる。「タイトルタウン」と名付けられたプロジェクトがそれだ。

大学卒業者を街に呼び込め

 タイトルタウンはグリーンベイのダウンタウン、ランボー・フィールドに隣接した45エーカー(約18万m2)の土地に新たなビジネスを呼び込み、コミュニティーの拠点として再整備しようというものである。

 いくらパッカーズが圧倒的な人気を誇り、ビジネスが好調といっても地元経済への影響は限定的であり、中西部の寒冷地にある小さな田舎町であることは変わりない。パッカーズ以外に観光資源もないような状況だった。

 そんなグリーンベイの現状に、パッカーズ自体がテコ入れに乗り出したのである。パッカーズのマーク・マーフィー社長はこのプロジェクトに乗り出した狙いについて「調査でグリーンベイは他のコミュニティー、似たような大きさのコミュニティーに対して不利な面を抱えていることが分かりました。それはコミュニティー内の大学卒業者の割合いが低いことです。これは多くのことを意味します。大学卒業者の年収は高いですから、より多くの大学卒業者をここに呼び込み、維持する必要があります。それがタイトルタウンで行おうとしていることの1つです」と語っている。

 タイトルタウンではまず第1段階として2017年、地ビールの醸造所を持つ大型レストランや4つ星ホテル、さらには中西部で最も進んだ整形外科病院になることを目指して2000万ドルを投じて建設されたスポーツ病院の3施設が春から順次オープンしている。いずれもパッカーズの人気や活動に関連したビジネス展開が望めるものだ。

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