まず注目したいのが米ツイッター(Twitter)社によるゲーム中継のライブストリーミングだ。ツイッターは今シーズン、現地時間で木曜夜に1試合開催される「サーズデーナイト・フットボール」(TNF)を合計10試合ライブストリーミングする権利を獲得して実施中。日本からも視聴可能だ。
最初にストリーミング中継が行われた9月15日のニューヨーク・ジェッツ対バッファロー・ビルズの試合は、全世界からの総視聴者数で210万人を記録した。平均視聴者数は24万3000人、平均視聴時間は22分だった。さらに試合に関するツイートは25万5000回あったと発表された。
この試合は米国で、地上波のCBSとケーブルチャンネルでNFL傘下のNFL専門局、NFLネットワークでも生中継されており、その合計総視聴者数は4810万人、平均視聴者数は1540万人だった。平均視聴者数を比較するとツイッターはテレビの1.6%弱に過ぎない。視聴時間も非常に少ないように感じられるかもしれない。
米ヤフー(Yahoo!)社は2015年10月に行われたバッファロー・ビルズ対ジャクソンビル・ジャガーズをライブストリーミングしたが、その際の総視聴者数は1520万人で、平均視聴者数は236万人だった。ツイッターのライブストリーミングは大きく後退したようにも見えるが、メディア業界では逆に「成功」という評価が多い。なぜか・・・。
平均視聴時間は利用時間の7倍
その理由は、今回のライブストリーミング実施環境を考慮しなければならない。前述したように今回のTNFはツイッターのみならず、テレビで地上波とケーブルチャンネルが生中継した。いわばツイッターは“第3の中継メディア”であり、視聴者獲得において最初から不利な立場にあった。さらに昨年のヤフーの場合は、出場チームの地元以外、全世界でテレビ中継が行われない独占契約が結ばれており、このゲームを見るにはヤフーにアクセスするしかなかったのである。
このためヤフーの契約料が1試合のみで2000万ドルと見られているのに対し、ツイッターの契約料は10試合で1000万ドルと低く抑えられた模様だ。