VR用HMDのほとんどが、ほかにパソコン本体やゲーム機を要するディスプレーであるのに対し、ホロレンズはCPUやメモリーを内蔵し、OSにWindows 10を搭載して独立して動作するコンピューターデバイスであることも特筆すべき点だろう。
天井から床まで画面に
Microsoft社は2016年2月7日に行われたNFLの「第50回スーパーボウル」の直前に、カリフォルニア州サンフランシスコで現役NFL選手などが出席した「The Future of Football」(フットボールの未来)と題したパネルディスカッションを開催した。その中でホロレンズを使った新しいNFL中継の観戦スタイルを提示するビデオ「Imagining the future for NFL fans」(NFLファンの未来を想像する)を発表した。 このビデオの中で強調されていた点は大きく4つある。第1にバーチャルな巨大テレビ画面。通常のテレビ画面の枠外の中継画面をホロレンズの投影機能を使ってバーチャルに拡大表示し、例えば天井から床までといった巨大な中継画面を仮想的に創出する、という機能である。第2に「ホログラムフィールド」。目の前にあるテーブルの上などにホロレンズを通して3Dの試合フィールドを出現させ、そこで観戦するというもの。ジェスチャー操作によって自在に視点を変化させる機能なども示した。
第3にリアルタイムデータの表示。選手に装着されたセンサーなどによって、走る速度やタックル時のパワー(加速度)などのデータがリアルタイムに、しかも立体的に表示される。データ表示はサッカーや野球でも盛んになっているだけに、これがファンには一番身近な機能といえるかもしれない。
第4に実物大のホログラム。これは壁などを突き破って、視聴者の目の前に実物大の選手が現れるように見える立体映像を表示するものである。