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渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

特別デザインで個性演出、プロスポーツ「注目度UP作戦」

2017/08/30 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 米国時間の2017年8月25~27日に行われた米プロ野球MLBの試合は、これまでにないカラフルな雰囲気に包まれた。選手に焦点を当てたイベント「プレーヤーズ・ウィークエンド」として、今回初めて開催されたからだ。

 大リーガーたちの個性と情熱、さらにこれまでの成長への感謝をかつてない方法で輝かせることを目的に、MLBとMLB選手会の合意の下で実施に至ったということである。

 最大の特徴は、このイベント向けに特別にデザインされたユニフォームを選手が着用したことだ。特製ユニフォームは、各チームのチームカラーを基本に、子供の野球チームのユニフォームによくある、派手な色使いにインスパイアされたデザインとなった。

「プレーヤーズ・ウィークエンド」で選手が着用したユニフォームの例(写真:MLB)
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 例えば黒とゴールドをチームカラーとするピッツバーグ・パイレーツであれば、前後が黒で、袖と背番号、帽子がゴールド(黄色)のデザイン。シアトル・マリナーズだと前後がグリーンで、袖がスカイブルー、背番号がグレーだった。

ユニフォーム使用後にはオークション

 特製ユニフォームのユニークさはそれだけではなかった。背番号の上に掲載される選手名が登録名ではなく、その選手のニックネームになっていたのである。デトロイト・タイガースのミゲル・カブレラ選手の“MIGGY”のように、すぐに本名からと分かるものもあれば、そうでない風変わりなものも多かった。

 例えば、ボストン・レッドソックスのデビッド・プライス選手は溺愛する愛犬アストロから“ASTRO'S DAD(アストロの父)”と付けた。ボルチモア・オリオールズのウェリントン・カスティーヨ選手は、好みのビーフ・ウェリントンという料理から“BEEF”とした。

 日本人選手に関しては、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大選手が“MASA”、マイアミ・マーリンズのイチロー選手が“ICHI”、田沢純一選手が“TAZ”、ロサンゼルス・ドジャースのダルビッシュ有選手が“YU-SAN”で、前田健太選手は“MAEKEN”、マリナーズの岩隈久志選手は“KUMA”、シカゴ・カブスの上原浩治選手が“KOJI”と、割とひねりのないものが多かった。

 また、各ユニフォームの右袖には子供がだんだん成長してメジャーリーガーになるまでの、打者のシルエットが描かれた特別パッチが5個縫い付けられた。このパッチの下部には、「サンキュー」という文字とともにその選手が成長するのを助けてくれた人物の名を書き込める白いスペースが設けられていたのも特徴である。

 この特製ユニフォームだが、使用後にはオークションにかけられ、売り上げは全てMLBとMLB選手会が共同で設立した「若者育成基金」に寄付される。

 さらにプレーヤーズ・ウィークエンドの3日間に限っては、ルールで通常使用が認められていない、特別なデザインや色のバット、シューズといった用具が使用解禁された。ヤンキースはシルバーに塗られたバットを、ドジャースはチームカラーであるドジャー・ブルーのバットを使用した。

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