その後、2014年にコミッショナーがアダム・シルバーに交代すると調査が再開され、2016年4月に2017~2018年シーズンから解禁されることが発表されたのである。既に女子プロバスケットボールWNBAでユニフォーム広告が解禁されており、収益を上げていたことが解禁への後押しになったようだ。

 またシルバー氏は現在55歳とコミッショナーとしては若く、ハイテクなどの事業で財を成しビジネス指向の強いチーム・オーナーが増えたこともあって、導入への心理的な障壁が低下したことも背景にある。

 とはいえ、現在では全面解禁というわけではなく、掲載できるのは左胸に最大2.5×2.5インチ(6.35cm角)の広告1点のみとなっている。また、今回の解禁は3年間の実験とされているが、これが3年で終わると考えている人はいないようだ。

他のプロスポーツに波及するか

 ところで、開幕まであと3カ月という現時点で、ユニフォーム広告契約を発表しているチームが全30チーム中9チームにとどまっていることについては、ユニフォーム広告にどれほどの価値があるか手探りの状態にあるためという意見が多い。

 相場は年500万~1000万ドルと見られているが、昨シーズンの王者ゴールデンステート・ウォリアーズは1500万~2000万ドルを要求しているという話もある。やはりファンの反発に対する懸念も依然強いようで、ファン向けに販売されるジャージからは広告が外される。

 それでも2~3年がたてば、相場も安定するだろう。中国など特にアジアで人気が高いNBAは、グローバルなマーケットを狙えるので広告の価値はさらに上昇するだろうとの見方も多い。

 今後の焦点は、NBAのユニフォーム広告解禁が4大プロリーグに解禁ラッシュをもたらすかどうかだ。次は、中でも比較的規模、人気が低いプロアイスホッケーNHLだ、と断言する人もいる。“ビジネス最優先”の流れに、スポーツ界の伝統はあらがえないのだろうか。