スポーツの世界でファンへのサービス向上に人工知能(AI)技術を導入する動きが広がっている。 米MLBのシアトル・マリナーズは今シーズンから本拠地セーフコ・フィールドに51あるスイートボックスに、地元企業である米アマゾン・ドット・コム社の音声認識・対話機能基盤「Alexa」に対応したスマートスピーカー「Amazon Echo」を設置した。
ゲストに対するパーソナルアシスタントとして機能させることが目的だ。Echoはマリナーズ仕様にしてあり、ゲストが「アレクサ、マリナーズに●●●を頼む」と英語で語りかけるとEchoがマリナーズのスケジュールやトリビアを読み上げたり、スイートボックス内に設置されたテレビのチャンネルや音量を変更してくれる。
マリナーズでインフォメーションサービスを担当するデイブ・カリー副社長は「Alexaとの提携が進化すれば、スイートボックスを訪れる観客の試合での体験を向上させる新たな手段やインタラクティブな機能を付け加えることができる」と話す。今後、Alexaを使ったサービスを追加していく考えだ。
チャットボットをスタジアム専用アプリに
一方、AIを用いた自動対話技術チャットボットを導入するチームも複数登場している。米プロアイスホッケーNHLのタンパベイ・ライトニングは2017年からバーチャル・アシスタント技術を開発する米Satisi Labs社と提携、同社のチャットボット機能をチームのウェブサイトや本拠地アマリー・アリーナの専用アプリに組み込んだ。
ファンがチケットや駐車場、飲食などに関する質問を書き込むと、チャットボットの「ThunderBot」が回答する仕組みだ。将来、チームのフェイスブック・メッセンジャーにも導入される予定だという。
ライトニングのエリック・ブランケンシップ・マーケティング副社長は声明で、「Satisi Labs社との提携によってファンに最新テクノロジーを提供することは、今後数年でとても価値のある資産となるでしょう。我々のファンが試合を観戦し、動向をフォローすることが簡単にできるようになるからです」と、AI機能導入のメリットを語る。
ライトニング以外にも、MLBのミルウォーキー・ブルワーズがチームのマスコット「バーニー・ブルワー」から名前を取った「バーニー・ボット」を導入したり、今シーズンから新本拠地サントラスト・パークをオープンしたアトランタ・ブレーブスがライトニングと同じくSatisi Labs社のAIを採用するなど、スタジアムやアリーナの専用アプリにチャットボットを取り入れる動きは大きなトレンドになりつつあるようだ。