とりあえず1シーズンのお試し
では今回のNFLのケースはどうか。やはり制約はある。まず、あくまで1シーズン限りのテストとされている。シーズン終了後の反響を見て、大丈夫と判断されれば許可が継続されるという。やはりファンや一般社会の目は大きいのである。
放送するCMの長さは30秒までで、1試合で最大4回、1つのクオーター、ハーフタイムに2回までとされている。ゲーム前と後の関連番組もそれぞれ2回までということだ。
さらに節度ある飲酒を促すメッセージを入れることも要求されているし、フットボールをテーマにしたり飲酒年齢に達していない層を対象とした構成にすることも禁じられている。
やはり若いファンにハードリカーをスター選手が勧める、といったことに対する懸念は強く残っている。しかし、カンターメディア社の調査によれば、2016年にハードリカー会社全体で4億1100万ドルを広告費として使ったとされている。そうした広告費の一部がリーグやチームに入ってくることは、ビジネス上大きな魅力なのだ。
ギャンブル広告も解禁か?
同時にこうした広告規制緩和傾向はさらなる懸念も生む。例えば2017年2月に行われた「第51回スーパーボウル」のテレビ中継ではサプリメント会社、米GNC社のCMの放送を、NFLが禁止している成分が入ったサプリメントを販売していることを理由に放送を担当したFOXが許可しなかった。こうしたサプリメントや元気が出ると若者に人気のエナジードリンクのCMの放送はどうなのか、といった声もあるのだ。
NFLでは現在カジノやギャンブルに関連したCMは禁止されている。しかし、オークランド・レイダースが2019年もしくは2020年にネバダ州ラスベガスに移転することが決まったため、ビジネス展開において解禁が必要になるだろうという意見も出ている。
ちなみに、MLBでは既にカジノの広告は解禁されている。
このように社会の風潮とビジネスの拡大の両方をにらみながら、これまでとってきた規制をどうすべきか模索する動きが、米国のプロリーグで今後も続くことになりそうだ。