スポーツ中継を見ながらSNSを楽しむ――。こうした“観戦スタイル”が世界的に普及するなか、米国最大のスポーツイベントであるNFLの優勝決定戦「スーパーボウル」は、SNSの最新情勢を伺う格好の機会である。2016年2月7日に開催された「第50回スーパーボウル」からは、何が分かったのか。スーパーボウルを取材したジャーナリストの渡辺史敏氏に解説してもらう。
 スポーツのテレビ中継を見ながら手元のスマートフォン(スマホ)やタブレット、パソコンなど、いわゆる「セカンドスクリーン」を使ってSNSを利用し、友人などとコミュニケーションを取ったり、情報収集するという楽しみ方をしている読者も多いだろう。

 こうした“SNSながら観戦”は、日本や米国のみならず世界的に広まっている。そしてスーパーボウルは、米国におけるSNSの人気や利用状況を把握する絶好の機会となる。

6000万人がFacebookに投稿

 では、第50回スーパーボウルにおけるFacebook(フェイスブック、FB)の利用状況から見ていこう。

 米Facebook社は2月7日の1日で、6000万人のアクティブユーザーが投稿し、コメント、「いいね!」を合わせたインターアクションが約2億回行われたと発表した。

 インターアクションが多かった瞬間は意外にも試合中ではなく、歌手のビヨンセ、ブルーノ・マーズ、ロックバンドのコールドプレイが出演したハーフタイムショーが終了した時だった。2位はデンバー・ブロンコスがカロライナ・パンサーズを24対10で下して3度目の優勝を決める試合終了の笛が吹かれた時。そして3位が、歌手のレディー・ガガの国歌独唱、4位が試合開始のキックオフ時となっている。

Facebook社が発表した、スーパーボウル開催時のユーザー数とインターアクション数の推移(図:Facebook社)
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Facebook社が発表した、スーパーボウル開催時のユーザー数とインターアクション数の推移(図:Facebook社)

 本連載の第2回でスーパーボウルのテレビ中継で放送される、通称「スーパーボウルCM」について紹介したが、Facebookに掲載されたCMも多く、ユーザーの大きな関心を集めた。7日だけで韓国・現代自動車によるCM”The Chase”は約1411万回の視聴があったという。ビールのバドワイザーによる、女優ヘレン・ミレンが出演したCMも約1319万回視聴された。

 このようにFacebookの利用状況を見るだけでも、スーパーボウルがスポーツとしてだけでなく、エンタテインメント、PR(広報)の面で関心度の高いコンテンツであることが分かる。

Twitterは49%減か

 一方、Twitter(ツイッター)は試合開始3時間前から終了3分後までの間に、全世界で関連のツイートが2700万回あり、43億回見られたと発表している。

 調査会社の米Nielsen(ニールセン)社は、2月7日にCBSの試合中継について380万人の米国人ユーザーが1690万ツイートしたと発表した。これは2015年秋から2016年春にかけての米国のテレビ番組で最多のツイート数である。

 ちなみに、最も多くのツイートがあったのは、やはりハーフタイムショーが終了後で、東部時間午後8時44分からの1分間に16万2000ツィートを記録した。「@coldplay」「@Beyonce」「@BrunoMars」という歌手名付けた投稿が多かった。

Twitter社が発表した、スーパーボウル開催時の投稿数と投稿場所(北米の地図上に投稿場所に応じてスポットを表示)。優勝したブロンコスに関連したツイートを示すオレンジのスポットが全米に広がっている(図:Twitter社)
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Twitter社が発表した、スーパーボウル開催時の投稿数と投稿場所(北米の地図上に投稿場所に応じてスポットを表示)。優勝したブロンコスに関連したツイートを示すオレンジのスポットが全米に広がっている(図:Twitter社)