人気、ビジネスの双方で隆盛を極めている米プロアメリカンフットボールリーグのNFL。その直近の事例として、2016年2月に開催された2015年シーズンの優勝決定戦「第50回スーパーボウル」からビジネスやメディア、テクノロジーの最新事情を数回にわたって見ていく。今回は、テレビ中継とライブストリーミングについて報告する。
2016年2月に開催された「第50回スーパーボウル」。デンバー・ブロンコスとカロライナ・パンサーズの試合の様子((C)NFL JAPAN. All Rights Reserved.PHOTO BY AP Image)
2016年2月に開催された「第50回スーパーボウル」。デンバー・ブロンコスとカロライナ・パンサーズの試合の様子((C)NFL JAPAN. All Rights Reserved.PHOTO BY AP Image)
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 米東部時間の2016年2月7日18時30分に開始された「第50回スーパーボウル」を全米向けにテレビ中継したのはCBSだった。

 スーパーボウルの中継は、地上波でNFLのレギュラーシーズン放映権を持つCBS社、Fox社、NBC社の3局の持ち回りとなっている。いずれも、いわゆる「4大ネットワーク」を構成する局だ。残るABC社は2005年に放映権を手放し、同じ米ディズニー傘下のスポーツ専門のケーブル・チャンネルESPNがその放映権を獲得したが、ESPNは地上波ではないので中継できない。これは、後述するような収入を考えると大きな痛手といえるかもしれない。

視聴者数歴代ランキングで上位独占

「第50回スーパーボウル」のロゴ
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 さて、今回の中継は約3時間45分にわたったが、米調査会社のニールセン社によればその平均視聴率は49%で、占有率は73%に上った。さらに平均視聴者数は1億1190万人で、これは米国テレビ史上3位という数字である。

 実は平均視聴者数の歴代ランキングにおいて、上位七つはすべてスーパーボウル中継が占めている。最も多かったのは2015年の第49回で1億1440万人に上った。さらにトップ10で見ても、スーパーボウル中継が九つを占めている。ちなみにスーパーボウル中継以外で唯一ランクインしているのは、伝説的なドラマ「M*A*S*H」の最終回で1億590万人だった。

 このようにスーパーボウル中継は1億人以上の視聴者数と40%以上の視聴率が確実に望める“超優良コンテンツ”である。多チャンネル化やメディアの細分化が進んでいる米国では、視聴率が10%を超えれば大ヒットと言われるだけに、この数字がいかにすごいかが分かるのではないだろうか。

「見る目的はCM」が20%

 スーパーボウル中継の人気は、試合そのものにとどまらない。ゲームの半ばに行われるハーフタイムショーは、毎年人気アーティストが出演することで有名で、その注目度は世界的なものとなっている。

 今回はロックバンドのコールドプレイ、歌手のビヨンセ、ブルーノ・マーズが出演したが、テレビ録画機(DVR)メーカーの米TiVo社が発表した毎分の視聴調査結果によれば、ハーフタイムショーの方が試合よりも良い数字を示したほどである。もともとハーフタイムは視聴者がトイレに行くなどのためにテレビから離れてしまうため、魅力を高めるために豪華な出演者、内容にしてきた経緯がある。そのもくろみは見事に成功したといえるだろう。

スーパーボウルのハーフタイムショーに出演した有名歌手。左からビヨンセ、コールドプレイのクリス・マーティン、ブルーノ・マーズ((C)NFL JAPAN. All Rights Reserved.PHOTO BY AP Image)
スーパーボウルのハーフタイムショーに出演した有名歌手。左からビヨンセ、コールドプレイのクリス・マーティン、ブルーノ・マーズ((C)NFL JAPAN. All Rights Reserved.PHOTO BY AP Image)
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