日本市場の約5兆円に対して、その10倍の規模の約50兆円。スポーツ産業における日米格差は、GDP(国民総生産)比をはるかに上回る。なぜ、米国のスポーツ産業はここまで巨大なのか、その差はどこにあるのか――。米国に20年近く滞在し、NFLやMLBなど米メジャースポーツの取材経験が豊富なジャーナリスト・渡辺史敏氏に、ビジネスや最新テクノロジーの導入といった独自の切り口から米メジャースポーツの最新事情を報告してもらう。
渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」
目次
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サッカー女子W杯、人気の米国代表がもたらす光と影
2019年FIFA女子ワールドカップ・フランス大会が、現地時間の6月7日に開幕する。日本では8年前の世界一を鮮明に記憶している人も多いだろう。そして、連覇がかかっている米国では、大会に向けた様々な動きが出ている。
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マスターズ優勝、不死鳥タイガー・ウッズの経済効果
男子ゴルフ界のスーパースターはまだ終わっていなかった。2019年4月14日、米国のタイガー・ウッズ選手は、今シーズンのメジャー第1戦である「マスターズ・トーナメント」で優勝を成し遂げた。実に、2008年の全米オープン以来11年ぶり、15回目のメジャー大会の制覇である。マスターズでの優勝は5回目だが、…
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5G、スポーツ体験変革への大きな期待と物足りなさ
2019年4月初頭、韓国と米国で世界の先陣を切って、次世代の移動通信システム「5G」の商用サービスが開始された。それに伴い、米国のスポーツ界でも5Gを活用した新たなサービスへの取り組みが始まっている。
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米プロ野球の下部リーグがビジネス拡大にまい進するワケ
日本のプロ野球で「2軍」と言えば、プロに入ったばかりの選手を強化する育成の場の色彩が濃い。米メジャーリーグ・ベースボール(MLB)の下部組織であるAAAやAAといったマイナーリーグ・ベースボール(MiLB)もその役割を担ってはいるが、それだけではない。試合を開催して収益を得る、れっきとしたプロリー…
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スタジアムWi-Fiで24TB、スーパーボウル「自慢欲求」で莫大なデータ消費
米ジョージア州アトランタにある「メルセデス・ベンツ・スタジアム」。米国時間の2019年2月3日、このスタジアムに設置された高密度Wi-Fiのデータ使用量は1日で24.05TB(テラバイト)に達した。同日にプロアメリカンフットボールNFLの優勝決定戦「第53回スーパーボウル」が開催されたためだ。
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「スーパーボウル」でストリーミング視聴者30%増も遅延トラブル露呈
米ジョージア州アトランタで現地時間の2019年2月3日に開催されたプロアメリカンフットボールNFLの優勝決定戦「第53回スーパーボウル」。ニューイングランド・ペイトリオッツがロサンゼルス・ラムズを13対3で破り、6回目の優勝を飾った。
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「第4Qだけ見れます」 NBA、若年層獲得に大胆な挑戦
米プロバスケットボールのNBAが、試合のライブストリーミングを通じて新たな観戦スタイルを模索する取り組みを続けている。
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NFL「ビッグデータボウル」、課題解決のアイデアを一般募集
米プロアメリカンフットボールのNFLは、リーグが抱える課題を解決するアイデアを一般から募集するクラウドソーシングの取り組みを拡大している。
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NFLは年23億ドル収益増へ、賭博に飲み込まれる米プロスポーツ界
米国のプロスポーツ界で、スポーツ賭博関連企業との提携がラッシュ状態となっている。事の発端は、2018年5月に連邦最高裁判所がスポーツを対象とした賭博の解禁を認める判断を下したことだ。米国では1992年に連邦法である「プロ・アマスポーツ保護法(PASPA)」が制定され、その時点でスポーツ賭博を法整備…
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民間で45億ドル投資、28年ロス五輪会場の新スタジアム構想
米カリフォルニア州ロサンゼルスの南西に位置するロサンゼルス国際空港からわずか6kmのイングルウッドで、現在スタジアムを中核とした街づくりが進められている。「ハリウッドパーク」と呼ばれるこのプロジェクトを進めているのは、プロアメリカンフットボールNFLのロサンゼルス・ラムズのオーナーである、スタン・…
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試合見ずにアリーナで食事満喫、モバイルチケットに新機軸
米プロアメリカンフットボールのNFLは2018年11月13日、翌週19日にメキシコ・メキシコシティで開催予定だったカンザスシティ・チーフス対ロサンゼルス・ラムズの一戦を、ラムズの本拠地であるロサンゼルス・メモリアル・コロシアムでの開催に変更すると発表した。
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総合格闘技や投てき競技も、トラッキングが“標準ツール”に
スポーツを分析する技術とそのサービスが広がりを見せている。これまで選手個々人の運動量を測定する技術としては、ウエアラブルな機器でGPS(全地球測位システム)や心拍数を測定する方法が多く行われてきた。米Humonは、新たな基準として筋肉中の「ヘモグロビン飽和量」に焦点を当てている。
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全電力を太陽光で賄うアリーナ、米スポーツ界でSDGs活発化
国際連合が掲げ、今やトレンドワードとなっている「SDGs(持続可能な開発目標)」。米国のスポーツ界でもSDGsへの取り組みが活発化している。ただし、米国では2015年の策定以前の2010年頃から取り組みが本格化したため、SDGsではなく「sustainability(持続可能性)」という言葉が使わ…
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資産価値で世界首位、マンUもバルサも超えるNFLチーム
米経済誌フォーブスは2018年9月20日、米プロアメリカンフットボールNFL全チームの「2018年度資産価値ランキング」を発表した。これは各チームの収益や、本拠地とするスタジアムの資産などから同誌が独自に算定しているものだ。
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21年契約更新への布石か、NFL試合配信「解放策」の深謀
米4大スポーツの中でも群を抜く人気を誇る、プロアメリカンフットボールのNFL。優勝決定戦の「スーパーボウル」ともなれば、テレビの平均視聴者数が1億人を超える。公式戦でも注目度の高い試合だと2500万人近くの視聴者を集める。
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ツイッターからカメラ制御も、「異次元観戦体験」への挑戦
米国のスポーツ界で、新たな映像サービスを開発する試みが複数行われている。まず、2018年3月から4月に開催されたNCAA(全米体育協会)1部の全米バスケットボール選手権では、67試合中21試合でメディア企業のターナー・スポーツによるVR(仮想現実)での試合中継が実施された。
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NBA、カジノ大手MGMとパートナー契約の思惑と波紋
米国でスポーツ賭博に関連したビジネスの動きが活発化している。背景にあるのは2018年5月14日に、連邦最高裁判所がスポーツを対象とした賭博の解禁を認める判断を下したことがある。
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チケット提示不要 MLB、19年に生体認証技術導入へ
近年、スポーツやコンサートなど多くの人々が集まるイベントの入場時のセキュリティーチェックを強化する流れが続いている。いわゆるテロの「ソフトターゲット」となりやすいことを考えれば当然と言える。ただ厳格化するとそれだけチェックにかかる時間が増え。長い行列ができて、それが来場者のストレスとなり、満足度を…
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複合医療設備や高級会員組織・・・NFL強豪の先端複合施設
プロアメリカンフットボールNFLのダラス・カウボーイズは過去5回の優勝を誇る強豪チームだ。全米レベルでの人気の高さから「アメリカズ・チーム」とも呼ばれている。そのカウボーイズが2016年から開発を進めているのが、チーム本部を核とした複合施設「ザ・スター」である。ザ・スターはダラスのダウンタウンから約…
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NBA選手がトップ100に40人、年収が示すリーグの勢い
経済誌フォーブスが2018年の高収入アスリート・ランキングを発表した。これは同社が独自に世界のスポーツ選手の年俸や勝利給など本収入と、広告出演などによるエンドースメントと呼ばれる副収入を算出し、上位100人を発表するもの。