脱下請け・脱価格競争を目指す

 これまで見てきたように、日本の部品加工業(受託加工会社)の底力は非常に力強いものがあります。また日本の製造業の競争力を維持・向上させる上で不可欠の存在でもあります。ところがこうした部品加工業には、いわゆる業界団体などといった全国レベルでの横のつながりはほとんどなく、地域ごとのネットワークしか存在しませんでした。

 船井総合研究所 ファクトリービジネスグループはこうした実情の中、日本の製造業の競争力の源泉ともいえる部品加工業の経営体質を強化するために、2011年11月から「ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会」を発足させました。2011年3月11日に東日本大震災が発生し、「日本国内でのものづくりはもうダメだ」との声も目立ちはじめた空気の中、何としても部品加工業を国内に残さなければいけない、そうした強い思いで部品加工業経営部会は発足したのです。

 当初、同経営部会は次の3つの理念で運営を行っていました。

<ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会の理念>
1. 脱下請け・脱価格競争を推進する
2. 新規優良顧客を創造する
3. 新技術・独自加工技術を開発する

 同経営部会は、唯一の全国区の経営勉強会であることから業界の支持を集め、現在は全国107社(2017年9月現在)の企業が会員となり、2カ月に1度定例会を開催しています(図1)。また船井総合研究所 ファクトリービジネスグループは、過去10年間にわたり部品加工業向けセミナーを実施しており、こうしたセミナーへの参加企業数は累計で2000社を超えています。

図1 部品加工業経営部会 定例会の様子
図1 部品加工業経営部会 定例会の様子

 こうした部品加工業のプラットフォームを生かし、近年では単なる経営の勉強会を行うだけでなく、VA・VE(=Value Analysis・Value Engineering:設計段階からのコストダウン)提案が可能な部品加工業を募り、大手グローバル製造業とのマッチングフェアを開催するなど、実践的な取り組みを行っています。