目に見えないエンドミルの工具長を測る

 加工する工具と工作機械が決まったら、次はどのような加工手順で加工を行うかを決定します。

 最初のハードルは工具長の測定です。マシニングセンターで加工を行う際には、工具長補正をかけるために工具長測定を専用機器で行います。通常は、マシニングセンターの主軸に切削工具をセットした状態で主軸を下降させ、工具長測定装置に切削工具の先端を近接させて接触または撮像により、工具長を測定します。

 ところが世界最小の0.1mm角のサイコロを製造するためには、⌀0.02mmという、肉眼では見えないレベルの極めて小径のエンドミルを使う必要があります。こうした微細な切削工具は、通常の接触式工具長測定装置では折れて破損してしまいます。また撮像方式でも、得られる像が細すぎて測定は困難です。そこで⌀0.05mm~⌀0.01mmの切削工具に対応できる、超低圧タイプ(1g)の繰り返し精度誤差±1μmを狙える接触式・工具長測定装置を、入曽精密自ら開発しました(特許出願中)。

0.1mm角のサイコロを取り付ける特製治具の開発

 また、0.1mm角のサイコロを固定する治具もゼロから設計開発しました。まず母材の状態で5面の加工を行います。その後、母材から切り離してこの特製の治具に取り付け、その上で最終の6面目の加工を行うのです。

図1 0.1mm角のサイコロを固定する特製の治具
図1 0.1mm角のサイコロを固定する特製の治具
出所:入曽精密
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図2 特製の治具にセットされた0.1mm角のサイコロ
図2 特製の治具にセットされた0.1mm角のサイコロ
写真:入曽精密
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