造れても測れなければ意味がない

 前回は、微細部品の量産を可能にするMIM(金属射出成形)技術についてお伝えしました。ここで大切なポイントは、いかに複雑な形状の部品が、あるいは高精度な微細部品が加工できたとしても、それが「測れなければ意味がない」ということです。微細なサイズの部品、かつMIMのように複雑な形状の部品の場合、例えば3次元測定機のプローブが入らない、チャッキングや位置決めが不可能、あるいはノギスやマイクロメータも使用できない、といった問題が発生します。

 こうした場合に活躍するのが非接触の3次元測定機です(図1)。例えば前回の連載で紹介したMIM製造メーカである太盛工業(大阪府寝屋川市)では、ドイツ製の非接触3次元測定機と、スイス製の非接触光学式3次元測定器を組み合わせて、評価測定に使っています。

図1 測れない場所を測る非接触3次元測定機
図1 測れない場所を測る非接触3次元測定機
左が「ATOSⅢ Triple Scan」(ドイツGOM社)、右が「OPTIV-321GL Classic」(スイスHEXAGON METROGY社)。
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 例えば「ATOSⅢ Triple Scan」(ドイツGOM社)の場合、5μmの精度で3次元の非接触測定ができます。また「OPTIV-321GL Classic」(スイスHEXAGON METROGY社)の場合、非接触ながらZ軸方向に対して2μmの精度で測定が可能です。こうした複数の測定機を組み合わせて使用することにより、微細な複雑形状部の測定など、接触式の測定機では測定不可能な箇所の測定を実現しています。