切削工具と工作機械の組み合わせが、工具と加工設備の代表格

 私たちの目には普段は触れませんが、確実に私たちの生活を変えつつある微細加工技術には工具と加工設備が不可欠です。そして工具の中でも代表的な存在が切削工具であり、加工設備の中で代表的な存在が切削工具を使用する工作機械です。

 本連載の第7回でも触れていますが、あらためて製造の7分類を示します(図1)。

図1 製造の7分類
図1 製造の7分類
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 この7分類は、加工技術を網羅しています。このうち「切削」については文字通り切削工具がメインに使用されます。そして切削工具を使用するためには、工作機械が必要です。

* 工作機械の定義とは「切り粉を出す加工設備」です。従ってプレス加工機やプレスブレーキといった加工設備は工作機械とはいいません。こうした加工設備は「鍛圧板金機械」といわれ、工作機械とは明確に区別されています。

 「塑性」で主に用いられるのは金型・鍛圧板金機械であり、また「成形」で主に用いられるのは金型・成形機械です。ところが、「成形」のための金型を造るには切削が不可欠で、そこでは工作機械も使用されます。また「高出力」に分類される放電加工(形彫り放電加工)を行うためには電極が必要であり、この電極をつくるためにも切削が不可欠です。

 つまり“切削工具”と“工作機械”は「切削」のみならず「塑性」「成形」さらには「高出力」とも密接に関わっています。ですから加工技術を語る上で、切削工具と工作機械は代表的存在になります。