医療ロボットに必要な微細加工技術

 本連載の前回で述べたような医療ロボットを成立させるためには、さまざまな微細加工技術が必要となります。例えば、以下の写真は外径が何と⌀0.08mm、突き出し長さが約0.8mmの微細長尺旋盤加工のワーク例です。この技術は医療ロボットの駆動部に応用されています。

図1 微細長尺ワークの加工例
図1 微細長尺ワークの加工例
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 この技術を開発したのも中小企業。わずか従業員30人の機械加工業、エムテック(本社茨城県ひたちなか市)です。サポイン事業(経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業)により同社が開発したマイクロNC(数値制御)旋盤は、CCDカメラで刃先と加工物の距離測定と加工後の計測をリアルタイムで実行し、目標とのズレが生じた場合には機械にフィードバックをかけて修正する仕組みになっています(図1)。

 これだけ微細径になると、切削抵抗はおろか切り粉が当たるだけでも、ワークが折れる原因になってしまいますから、高度な加工技術が求められるのです。

図2 エムテックが開発したマイクロNC旋盤
図2 エムテックが開発したマイクロNC旋盤
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