1台3億円の医療用ロボット

 医療分野において近年注目を集め、また市場の急拡大が期待されている分野として医療ロボットがあります。医療ロボットの世界市場は2015年時点で42億米ドル(約4200億円)といわれますが、年平均22.2%の急拡大が続き、2020年には114億米ドル(約1兆1400億円)のマーケットに成長することが見込まれています。

 そうした医療ロボットの中で最も有名なのが“da Vinci”(ダ・ヴィンチ)こと、「da Vinci Surgical System」(ダ・ヴィンチ・サージカルシステム:ダ・ヴィンチ外科手術システム)です。

図1 ダ・ヴィンチ外科手術システム
図1 ダ・ヴィンチ外科手術システム
画像提供:東京医科大学病院
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 同ロボットは米Intuitive Surgical社が開発した、マスタースレーブ型内視鏡下手術用のロボットです。名称はあの万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチにちなんだものです。

 ダ・ヴィンチ外科手術システムの原型は、1980年代末に米国陸軍が国防高等研究計画局(DARPA)に開発を依頼したものです。戦場での負傷者を米国本国、あるいは米国の空母に滞在中の医師によって、遠隔操作で患者の手術を行うことを目的としています。

 もともと軍事用として開発されたダ・ヴィンチ外科手術システムですが、現在では日本でも普及が進んでおり、2016年9月末の段階で大学病院を中心に237台が導入されています。