図1 Given Imaging社が開発したカプセル内視鏡
図1 Given Imaging社が開発したカプセル内視鏡
写真:コヴィディエンジャパン
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困難な小腸の検査、医師も患者も楽に

 医療機器の領域で今後成長が見込まれ、小型化ニーズがある分野の1つに“カプセル内視鏡”が挙げられます。世界で最初にカプセル内視鏡を開発したイスラエルのGiven Imaging社は、売上高1億8000万ドルだった時点で、8億6000万ドル(約885億円)もの高額で当時アイルランドのメーカーであるCovidien社(後に同社はMedtronic社に統合)に買収されています。

 カプセル内視鏡は、従来の内視鏡では小腸の検査ができない、という未解決の医療ニーズから生まれました。1997年に米国での特許が認められ、カプセル内視鏡の開発・生産・販売会社であるGiven Imaging社が設立されました。現在では世界80カ国以上、170万人を超える患者の検査に使われています。

 日本ではオリンパスが1990年初めより開発を始め、2005年に欧州で小腸用カプセル内視鏡の発売を開始しています。また長野県の小型カメラメーカーであるアールエフが2001年12月に「Sayaka」の名称で、小腸用カプセル内視鏡の開発を開始しています。

図2 日本のカプセル内視鏡
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図2 日本のカプセル内視鏡
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図2 日本のカプセル内視鏡
写真:アールエフ(左)、オリンパス(右、実際のカプセルにはロゴは入らない)。

 こうしたカプセル内視鏡は長さ23~26mm、直径9~11mmという文字通り超小型カプセルの中に超小型カメラと画像を無線送信できる機能を内蔵しており、約8時間にわたり約5万~6万枚の画像を撮影して外部の受信装置(センサアレイ)に無線送信します。画像は専用ソフトウェアがインストールされたコンピュータによって解析され、医師が診断に利用します。

 日本医科大学付属病院の消化器内科藤森俊二医師はカプセル内視鏡について「消化器内科医にとって夢の道具」と述べています(コヴィディエンジャパン社Webサイト「カプセル内視鏡飲むだけドットコム」より)。これまで検査が最も困難な消化管といわれた小腸ですが、患者のみならず医師も大変楽に検査ができるようになっています。