ものづくりの中の加工技術の位置付け

 では、加工技術はものづくり全体の中で見ると、どの様な位置付けになるのでしょうか。私たち、船井総合研究所ファクトリービジネスグループでは、ものづくりについて、次の様な大きな3つのプロセスで考えています。

ものづくり = 開発設計・デザイン + 製造 + 生産プロセス

 例えば、米Apple社の場合は「開発設計・デザイン」を強みとしています。そのかわり「製造」については台湾の鴻海精密工業などに全て外注しています。グローバルに見て、日本の多くの製造業の弱点はこの「開発設計・デザイン」の部分だと筆者は思います。実際、“日本のものづくりが凋落した”とよく言われますが、それはものづくりの中の「開発設計・デザイン」の部分を指しているケースが多い様に感じます。

 一方で、「生産プロセス」の代表的な事例としては“トヨタ生産システム(TPS)”を挙げることができます。カンバンなどのツールを駆使しながら、「1個流し」の実現を目指す「生産プロセス」です。トヨタ自動車の場合は、ものづくりの大きな3つのプロセスの中でも、特に「生産プロセス」において強みを発揮している製造業だと思います。

 「生産プロセス」の有名な例としては、アメーバと言われる管理単位で収支の見える化をして全体の生産性を高める“京セラアメーバ生産”(京セラ)や、かつて一世を風靡した“デル直販モデル”(米Dell社)なども挙げられます。