設計力の魂
デンソーで鍛えられた実践的設計論
目次
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トヨタとの提携でスズキが発揮すべきもの
第10回 変革と維持の融合を支える設計力
「国内やインドといった得意の市場でも、伝統的な良品廉価のクルマづくりだけでは独立企業として行き詰まる」──。スズキを率いる会長の鈴木修氏の危機感を隠さない言葉が印象に残る。2016年10月12日、トヨタ自動車とスズキが業務提携すると発表した。年々厳しくなる環境規制や自動運転などの新技術に対応するに…
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間違いだらけのDR
第9回 デザインレビューの本質
新たな知見を見いだすには、関係者が相互に意見を戦わせて議論を深めなければならない。製造業における議論の場はデザインレビュー(DR)である。そこで、ここからDRについて考えていこう。
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「競合に負けないコスト設定」は正しいか
第8回 設計目標値の定め方
三菱自動車の燃費不正問題で、同社が再測定においても不正な方法を採っていたことが分かった。件の問題が発覚し、同社社長が謝罪会見を開いた2016年4月20日の後のことだ。国土交通省は同年9月15日、「測定結果をかさ上げしようとした、常軌を逸する事態」との極めて厳しい文言の検査報告書を公表した(9月16…
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設計の「やりきる力」とは何か
第7回 設計力の解明
設計の役割は、まず顧客からのニーズ、すなわち商品仕様(必要条件)を把握し、製品仕様(十分条件、以下「設計目標値」と呼ぶ)に置き換える。そして、設計目標値を達成する方法・手順・構造・材質などを定量的に明らかにすることだ。顧客からの要望はあいまいな部分が多いので、その部分を解決して作り上げる取り組みと…
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品質とコストの8割を決定づけるもの
第6回 設計段階の取り組み
メディアの報道などから、ものづくりは「上流指向」になりつつあると感じるのは私だけだろうか。このコラムはその上流の活動を「設計力」という切り口で取り上げている。今回は「設計力」の土台となる「設計段階の取り組み」について述べる。
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図面は全て理論で説明すべし
第5回 自然はだませない
「米国の電気自動車メーカーTesla Motors社のクルマが、運転支援システム『Autopilot』を効かせた走行中に死亡事故を起こした。これについて調査している米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が、新たに同社の別のクルマの事故についても調査を始めた」と報道された。この事故も同システムが走…
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品質不具合がなくならない理由
第4回 失敗の連続から学んだもの
国土交通省のルールが改正され、2016年6月から自動車の「後写鏡」(ミラー)は車外カメラと室内のモニターで代用できることとなった。同年6月末に名古屋市で開催された「人とくるまのテクノロジー展」でも開発品が公開された。従来のミラーと比べて雨の日に後方の状況を確かめやすいなどのメリットがある。だが、故…
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品質不具合の経験こそ最上のノウハウ
第3回 知見の残し方
2016年5月末、火星が地球に最接近した。今もその距離はほとんど変わらないようだ。その火星で、米航空宇宙局(NASA)が2004年に送り込んだ探査車「オポチュニティー」が、「着陸から12年経つ今も活動を続けている。移動距離はマラソンの42.195kmを昨年に越えた」(同年6月12日付日本経済新聞)…
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燃費規制値違反は、最上位の品質不具合
第2回 審議・決裁を形骸化させてはならない
スズキが燃費測定を違法な方法で行っていた。内容は異なるにせよ、三菱自動車だけではなかった。昨年(2015年)はドイツVolkswagen(VW)社の排出ガス規制値違反があったが、日本メーカーは別だと思っていた。
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図面は設計者が描くのか?
第1回 品質を確保した図面の作り方
「設計力」について、コラムを書いていきたい。製造業において付加価値に直結する最も大切なものをテーマに選んだ。設計者にとっては、設計力とはまさに「魂」だ。筆者もデンソーで長年鍛えられた元設計者として、小細工などなしに、ど真ん中に直球を投げ込んでみたい。