ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
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 前回まで2回に渡り、日本企業の強みと言われていたQCサークル活動(以下QC活動)が衰退してしまった原因と、それらをこれからの改善活動にどう生かすべきかについて話してきました。この流れを受けて、今回は間接部門のQC活動について触れたいと思います。

 日本においてQC活動は、初期には「全社的品質管理(TQC)」と呼ばれていました。品質管理部門だけではなく、企画や開発、設計、製造、資材購買、営業部門にまで及び、全社的な取り組みを目指していたのです。すなわち全員参加の活動です。現在は、マネジメントによるトップダウンと現場からのボトムアップを両輪とした活動を目指しています。その活動は、「総合的品質管理(TQM)」と呼ばれています。

 このQC活動を行う際に、ものづくりの現場である製造部門はQCDに関する改善の切り口が分かりやすい。対象物が「もの」として直接「見える」からです。ところが、製造部門以外の部門は「もの」ではなく「情報」を扱うため、対象物が直接「見えない」という難しさがあります。

 従って、製造部門以外の部門は、まずは「情報の読み取りミスの削減」や「情報の入力ミスの削減」、「問い合わせ件数の半減」といったテーマで改善を進めていきます。こうした直近の問題から解決していくことで、徐々に「上流工程から下流工程にいかに情報をスムーズに流すか」という製造部門以外の部門にとって本質的な課題が見えてきます。この課題は「仕組み」に関わってくるので、前工程(上流の部門)と後工程(下流の部門)とが互いに連携する必要があります。