ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
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 前回のコラムで、日本企業の強みと言われていたQCサークル活動(以下、QC活動)が衰退してしまった理由を2つ挙げました。そして、そのうちの1つである「管理・監督者のマネジメントの欠如」を取り上げ、その重要性について私の見解を述べました。今回は、もう1つの理由である「本来スタッフ部門が行なうべきことの尻拭い」について紹介したいと思います。

 作業者は「作業標準」に基づいて教育・訓練を受けた上で作業を行います。この作業標準は、量産前の試作段階で、品質面や作業性、安全性を考慮してスタッフ部門が作成するのが一般的です。しかし実際に量産に入ると、思いもよらぬさまざまな課題が見えてきます。そこで、量産する中で「より良い方法」に改善していくことが現実的な対応になります。この「より良い方法」を検討することに関しては、スタッフ部門よりも作業を熟知している作業者の方が格段に威力を発揮します。そのため、QC活動が有効に機能するのです。

 山登りに例えれば、7合目まではスタッフ部門が作った作業標準を使って登り、そこから先はQC活動を使って頂上を目指すというイメージです。作業標準だけで頂上までたどり着ければよいのですが、現実にはなかなか難しい。そのために改善活動が必要なのです。