ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
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 前回は、品質管理の手法を学ぶ際のコツをお伝えしました。全ての手法をがむしゃらに習得するのではなく、実務に生かせるものを優先して学ぶのが近道という事例です。その中で実験計画法と加工条件について触れました。今回は、その加工条件をいつ誰が決めるとよいかなど、少し幅を広げてお話ししたいと思います。

 ものづくりの現場では、次の3つが明らかになっていないと加工ができません。[1]加工品質を決める条件、[2]その条件で狙うべき値、[3]その値で許される範囲(公差)です。例えばシートを貼り合わせる工程では、[1]ホットプレートの表面温度、[2]狙い値70℃、[3]公差±3℃、といった加工条件です。

 加工条件を満たすために、現場では作業標準書を整備し、設備を狙い通りに調整します。さらに少々の外乱が発生しても不良にならないように、ばらつきを小さくする努力を重ねます。この現場の実力は「工程能力指数」により数値で表すことができますが、これについてはまた別の機会に紹介します。

 では、こうした「加工条件の設定」を、どの部門が担当すべきでしょうか。ものづくりを「開発設計」と「製造」に大別すると、実は、加工条件を明らかにすべきは開発設計部門です。製造部門ではありません。実務において製造部門が関わることは多分にありますが、あくまでも開発設計のサポートの位置付けになります。