30ページでクルマの全てが分かる

 館内の企画コーナーでは、先端科学技術も紹介されていました。そこで配布されていた冊子は「クルマ教室 これで君もクルマ博士!」(トヨタ自動車2016年9月発行)でした。写真や図をたくさん使い、漢字には小学生でも読めるようにふりがなまで振られています。ほんの30ページくらいの本の中に、クルマの役割やエンジンの動く仕組み、クルマを造る工程、エコカーを開発する理由とその構造、そして交通事故を起こさないための仕組みまでが書いてあるのです。これを1冊を読めば、クルマに関する大局をつかめるのです。

 限られた誌面に収めるために、ポイントをグッと絞ってまとめられています。例えば「トヨタ生産方式」という生産管理の神髄を、専門用語を使わずに、ほんの3ページで小学生でも分かるようにまとめていたり、クルマを海外で造る理由を2項目で明確に打ち出していたりするのです。

 仕事では、情報や知識を簡潔に伝えなければいけないことが数多くあります。その際、「難しいことをいかに簡潔に分かりやすく伝えるか」というのは、皆さんにとっても難しい課題ではないでしょうか。そうした場面で役立つヒントを、身近な小学生向けの冊子から多く得ることができると思います。

 私が知るお薦めの冊子には、鉄については「ハツラツ鉄学」(日本鉄鋼連盟発行、18ページ)や、「新・モノ語り」(新日鉄住金発行)があります。これらはホームページでも見ることができます。皆さんもこの夏、小学生の夏休みに返った気分で子供向けの冊子を読んでみませんか。意外なところから実務に役立つスキルがたくさん見つかるかもしれません。