西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント
西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント
[画像のクリックで拡大表示]

 いまの時期は、新入社員向けの技術セミナーが多く開催されています。こうしたセミナーは、技術者に必要な基礎知識とは何か、それをベースに実務でどのようにスキルアップすべきかについて考えるきかっけになります。今回は実務で必要なスキルの1つを取り上げたいと思います。それは「肌感覚」、すなわち「直感」の大切さです。

 例えば、組立図をパッと見た時に「シンプルでスマートに出来ているな」と感じたり、「あれ? どうもこの構造はバランスが悪いな」などと思ったりする感覚。あるいは、図面を描きながら、部品の強度計算や熱による膨張度合いの検証が必要か不要かを判断できる感覚。これらは時間をかけて熟考することではなく、瞬時に判断する直感です。

 こうした直感がないと、実際に出来上がってみなければ完成度を確認できなかったり、本来は必要のない強度計算などの検証をムダに行ったりすることになります。例えば、本コラムで以前紹介した通り、特殊な場合を除いて材料の降伏点などの検証は不要です。

 「直感」というと、いい加減なイメージがありますが、そうではありません。「直感」と「ヤマ勘」は違います。直感には、それまでの経験を踏まえた根拠があります。一方で、ヤマ勘は当てずっぽうなもので、そこには根拠がありません。ここでいう勘は、もちろん、前者(直感)です。そして、この直感力は、実務を重ねながらOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で積み上がっていくものです。