西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント
西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント
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 品質改善を行う際には、現状の実力把握や目標の設定に「良品率」を使います。発生した不良品(ISO用語では不適合品)を手直しすることで、良品に復活できる工程もあります。そうした場合、良品率に加えて「直行率」という指標を使うと、より詳細に実力を把握することができます。

 ここで、2つの違いを確認しておきましょう。まず直行率とは、工程に流した際に1回で良品になる率のことです。例えば、Aという工程に製品を100個流した際に、良品が80個、不良品が20個の場合は「直行率は80%」になります。

 次に、この不良品の20個を手直しした後、良品になったものが15個、不良品のままのものが5個だったとします。これら5個の不良品は再起不能と判断して廃棄すると、次のB工程に流れる製品は、初めの80個に手直しした15個を加えて合計95個になります。すなわち、「良品率は95%」です。

 この「良品率95%」は手直しした数も含まれています。ですから、A工程の実力は「良品率95%、直行率80%」と両方を書くことで端的に表すことができます。こうすれば、改善に取り組む際には、「直行率の改善の方が効果的」であると分かります。

 なお、製品の特性上、不良品の手直しができずにそのまま廃棄となる工程では、良品率と直行率は同じ数値になります。従って、どちらか一方の指標を使えば済みます。

 また、不良率の表し方には2つのパターンがあります。100%から良品率95%を引いた5%で表す場合と、同じく100%から直行率80%を引いた20%で表現する方法です。不良率をどちらで定義するかは、自社で統一することが重要です。