ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
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 年明けのことです。私はある技術者から相談を受けました。この技術者は生産設備の開発者。彼がある設備を顧客に提供したところ、一部の部品に腐食が発生して改善要請を受けたというのです。彼は私にこう聞いてきました。「この課題にどのように取り組めばよいのでしょうか。顧客はこの設備を特殊な環境で使用しています。こちらにはその材料に関する知識も腐食に対する化学的な知識も乏しいので、どうしたらよいのか分からずに困っています」と。

 この技術者は自分に知識がないことを恥じている様子でした。しかし、一般環境ならともかく、特殊環境における最適な材料を即答するのは、材料の専門家でなければ難しいことです。

 では、この課題にどのように取り組めばよいのか。学校の教育などであれば、「まず自分自身でできる限り調査する」と答えるのが正解だと思います。しかし、私たち実務家にとってこの方法は好ましいとは言えません。「ある環境下における最適な材料を選択する」という作業は、言ってみれば答えが既にあってそれを探し出す作業。従って、「いかに早くゴールにたどり着くか」が最大のポイントとなります。