※この記事は、2016年11月28日から29日に開催された「パワーエレクトロニクス・サミット2016」(日経エレクトロニクス、日経テクノロジーオンライン主催)における上野雅之氏の講演『東海道新幹線における技術開発――SiC採用の駆動システムを搭載したN700Sの開発について』の内容を編集したものです。今回はその第4回(最終回)です。前回はこちら

故障率の低下により機器を集約化

 700系までのCIには、UVWのインバータとUVのコンバータで五つのユニットがある。よく故障したため、個別に取り換えられるように工夫してあった。しかし、個別に取り外しできる装置構成にすると、その分だけ複雑になっていた。故障率が減ってくると、個別に分ける必要がなくなる。そのため、コンバータとインバータを合体してユニットを二つに集約した。

 管理のしやすさを確保しつつ全体を集約化すると、小さいものを個別に取り換えるより、大きなものを交換することになるため、周辺構造が簡素化した。さらにN700系では、故障がほとんどなくなってユニットごとに分ける必要がなくなり、すべて合体して統合した。これにより周りの付属部品がなくなった。

 走行風冷却による「ブロアレス化」、信頼性の向上による「機器の集約」という二つが相まってN700系では非常に小型軽量化ができたことになる。ここまで、風の取り込みや新しい素子など、1年間に非常に多くのCIを試験し、メーカーと連携しながら絶え間なく技術開発を続けた結果が次期車両であるN700Sにつながっていった。