お通夜のデザインレビューの第2の要因

 しかし、当事務所のあるクライアント企業では、図1に基づく、楽しくて、興味が湧き、継続性のあるデザインレビュー・システムを構築した後も、「お通夜のデザインレビュー」は解消しませんでした。その要因の究明も簡単でした。その企業では、年間を通して技術者が人前に出たり、壇上で発表したりする機会が皆無だったのです。

 こうした環境下で、ただでさえ無口な技術者が、活性化したデザインレビューを行うことは不可能です。お通夜になってしまうのは当然でしょう。この対策として私が打ち出したのが、「失敗事例発表会」の開催です。 言い換えると、失敗事例発表会は、お通夜のデザインレビューの最終手段でした。

失敗事例発表会開催の勧め

 図2は失敗事例発表会の様子です。筆者が勧める実施日は、盆休みに入る前日と年末の仕事納めの日です。当事務所のクライアント企業では、年末の仕事納めの日に必ず実施しています。失敗事例発表会の終了後は、忘年会です。社内で盛り上がり、宴会でも盛り上がります。ぜひ一度、試してみてください。

 そして、今年の4月に入社した新人設計者を含む若手設計者の皆さんへ。本コラムの第1回からここまで、練習や修行を積んできたと思います。失敗事例発表会は、その成果を発揮する「場」です。ぜひ、自ら手を挙げて発表者に立候補しましょう!

図2●失敗事例発表会はお通夜のデザインレビューの回避策
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図2●失敗事例発表会はお通夜のデザインレビューの回避策

 こんなことを言う人がいました。「失敗事例発表会なんて、ネガティブな行為は嫌だ」と。しかし、そのネガティブな「会」を、ポジティブに変換することは簡単でした。設計部長がトップバッターとなり、若き日の失敗談から最近の失敗談までを披露してくれたのです。大変、盛り上がりました。

 繰り返しますが、ネガティブをポジティブに変えるのが「失敗事例発表会」です。本当にオススメです!