國井 良昌=國井技術士設計事務所 所長
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國井 良昌=國井技術士設計事務所 所長
 次のような質問が私の事務所に寄せられました。

【質問14】
 第14回の「誰もスカウトしない日本人設計者」の記事は、私の職場のみんなも大きな衝撃を受けました。「そんなはずはない!」と大きな声で反論した先輩もいましたが、周辺を説得できるには至りませんでした。そこで次週は、この課題に関して社内で自由討議の場が設けられ、本音で議論するというところまで進展してしまいました。でも、良い機会を与えてくださった先生には感謝しています。ところで先生、話を元に戻してくれませんか。 第10回はタイトルの付け方、第11回は書き出し(要旨)の作り方のご指導でした。その次を習得したいと考えています。よろしくお願いします。

 この質問に対する私の回答はこうです。

【回答14】
 私の脱線癖を再び、指摘されてしまいましたね。申し訳ありません。本筋に戻して、今回は、技術論文や技術プレゼンテーションに関する「ヤマ場の作り方」を伝授します。

ヤマ場って何?

 技術論文や技術プレゼンテーションでヤマ場がないということは、漫才における「ボケとツッコミのテンポが増す部分」がないことと同じです。つまり、お客様の笑いのピークが来ないのです。そうしたコンビは漫才コンテスト「M-1グランプリ」では優勝できませんね。

 では、技術論文や技術プレゼンテーションに関するヤマ場とは何のことでしょうか。 図1は、第5回で掲載した「4段論法におけるパワーポイントの設計」です。 そして、図中の黄色い枠の部分がヤマ場です。漫才でも同じ「オチ」の1つ手前がヤマ場です。

図1●4段論法におけるパワーポイントの設計とヤマ場の位置
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図1●4段論法におけるパワーポイントの設計とヤマ場の位置

 技術論文のテストでも技術プレゼンの発表会でも漫才のM-1グランプリでも、評価や採点における最も配点の高い部分がヤマ場です。

 コントのコンテスト「キングオブコント2017」の決勝に進出し、第2位の好成績を収めた「にゃんこスター」というお笑いコンビが最近注目を集めています。かわいい女の子が縄跳びを床に置き、口をとがらせて目を閉じたまま横へスライドするダンスを見せる。その場面がヤマ場です。分かりやすいでしょう?